北欧神話の戦乙女ヴァルキリーの絵画12選。戦死した者をヴァルハラへ導く使者 | メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

北欧神話の戦乙女ヴァルキリーの絵画12選。戦死した者をヴァルハラへ導く使者

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 ヴァルキリーは北欧神話に登場する半神の戦乙女たちで、ワルキューレとも呼ばれています。
 神々の最終戦争ラグナロクに向けて、主神オーディンは勇猛勇敢な人間を集めることにし、ヴァルキリーたちに戦死した英雄を連れてくるよう命じました。ヴァルキリーたちは天馬に乗って戦場へ赴き、勇猛な人物の魂を選んでエインヘリヤルとして、彼等を神々の国アースガルズにあるヴァルハラへ招きました。ヴァルハラへ来たエインヘリヤルたちはラグナロクの為に毎日戦争の修練をし、夜はヴァルキリーたちに蜜酒でもてなされるのです。
 英雄の魂を選定し、神々へと導く戦乙女の姿、12選をご覧ください。

「ペーテル・ニコライ・アルボ作  1864年」
彼女たちは武具に身を固め、空駆ける天馬に乗ってやってきます。
オーディンが槍を武器にしている為か、槍を持つヴァルキリーが多いです。

「ゴードン・ブラウン作  1913年」
一部の伝承では、夜にヴァルキリーの鎧がきらめいてオーロラが
生じると言われていました。

「ジョン・チャールズ・ドールマン作  1909年」
ヴァルキリーの人数は諸説あり、8~12人とされていますが、
40名ほどの名前が紹介されています。戦に関連した名が多いです。

「ウィリアム・T・モード作  1890年」
かなりたくましく見えるヴァルキリーたち。
昔ヒットしたゲームに「ヴァルキリー・プロファイル」というものがあります。
ヴァルキリーを主人公とし、死者の魂を集めていく内容ですが、
フレイが美女と化してオーディンがタイツで、ツッコミどころ満載です。

「フレデリック・サンディーズ作  1862年」
オーディンの使いである二羽のカラスと会話しています。
戦場に現われて死者の魂をさらう為、ヴァルキリーは死神的な要素を
持っていました。オーディンや女神フレイヤも死の神としての側面を持っています。
Anthony Frederick Augustus Sandys 1862

「ローレンツ・フローリク作  1906年」
死者の魂を持ってアースガルズへ向かうヴァルキリー。
番人ヘイムダルが入場を歓迎しています。

「エミール・ドプラー作  1905年」
エインヘリヤルたちは戦争の訓練を終え、祝宴を
ヴァルキリーは蜜酒を順番についで回ります。
ちなみに訓練で死んだ人も夜には復活しているので問題なしです。

「エミール・ドプラー作  1905年」
「ヴォルスンガ・サガ」やワーグナーの楽劇「ニーベルンゲンの指環」には
ブリュンヒルデという有名なヴァルキリーの女性が登場します。
彼女はオーディンの命に背き、炎の中で眠り続けることになります。

「アーサー・ラッカム作  1910年」
人間の英雄であるシグルズは山へと向かい、ブリュンヒルデを
目覚めさせ、結婚しました。しかし、シグルズは彼女に腕輪(指輪)を
渡すと、ギューキ王に仕えてしまいます。

「ハンス・マカート作  1877年」
王妃は娘グズルーンとシグルズを結婚させたくて、彼に忘れ薬を盛って
計略通りになってしまいます。ブリュンヒルデのことを忘れたシグルズは、
よりによって義兄弟グンナルをブリュンヒルデと結婚させようとします。

「エドワード・ロバート・ヒューズ作  1906年」
シグルズが誓いを破ったので、ブリュンヒルデはグンナルの弟
をけしかけてシグルズを殺してしまいます。しかし、彼女は深く後悔し、
葬儀の際にともに火葬されて命を落としたとされています。・・・壮絶な話です。

「ペーテル・ニコライ・アルボ作  1872年」
北欧の神々が信仰されなくなるにつれ、「ワイルドハント」という伝承が
現われました。妖精や神々、昔の王が集団で天空を駆けていくとされています。
これを見た者は大きな災いが起こるとされ、恐れられていました。
絵画を見ると、先頭にはヴァルキリーが描かれています。

 北欧の伝承には「フィルギエ」と呼ばれる守護霊のような存在がおり、それがヴァルキリーの由来とも言われています。フィルギエは動物や人物の姿で現れ、特定の人物や一族に付いて家の安泰を見守りました。主に夢の世界から現れ、啓示や予言を残しますが、まれに現実に現われて敵を倒すフィルギエもいます。
 人々を守り導く存在霊的が、神の国へといざなうヴァルキリーへと派生していったのでしょう。

 

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