モーセのエジプト脱出と十戒の絵画12選。預言に従い、海を割いてユダヤの民を導く | メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

モーセのエジプト脱出と十戒の絵画12選。預言に従い、海を割いてユダヤの民を導く

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 モーセは旧約聖書の「出エジプト記」に登場する人物です。彼は古代イスラエルの民族指導者であり、紀元前16~13世紀頃に活躍したとされています。実に約3200~3500年前の人物になり、実在したかどうかは不明です。
 モーセはエジプトの地でヘブライ人の家庭に生まれました。ファラオが増えすぎた新生児を殺すという命令を下したので、隠されてナイル川に流されましたが、エジプトの王族が彼を拾いあげて無事に育てられました。ある日、彼は神から「ヘブライ人たちをエジプトから脱出させ、自由にさせよ」と神託を受けました。モーセは兄アロンと共に奮闘し、神の力添えもあってヘブライ人たちをエジプトから解放することに成功します。それから彼等は長い苦難の道のりを歩むことになるのですが、モーセは神から授けられた石板「十戒」を基盤にして、民族をまとめ上げようとしたのでした。
 エジプトを脱出するまでと、十戒を持つモーセの姿の絵画12点をご覧ください。

 


 

「二コラ・プッサン作  1638年」
当時、ヘブライ人の乳児は殺される運命でした。しかし、モーセの母は
ナイル川へ赤子を流し、それをファラオの娘が偶然拾います。
モーセは娘の同情を得て、無事に母により育てられることになりました。

「セバスチャン・ブルドン作  17世紀」
モーセがホレブ山へ行くと、燃え続けている柴(しば)を発見します。
近付いてみると神が出現し、イスラエルの民をエジプトから脱出
させるよう、モーセに語りかけました。

「パリの聖書の挿絵  6世紀」
モーセと兄アロンはエジプトの王ファラオにイスラエルの民を自由に
させるよう頼みますが、聞き入れてくれませんでした。
すると、神はエジプトに十の災いを降り注がせました。

 

十の災い

1. 水を血に変える
2. 蛙を放つ
3. ぶよを放つ
4. 虻を放つ
5. 疫病を流行らせる
6. 腫れ物を生じさせる
7. 雹を降らせる
8. イナゴを放つ
9. 暗闇でエジプトを覆う
10.長子を皆殺しする

―Wikipediaより

「エラストゥス・ソールズベリー・フィールド作  1865-80年」
十の災いは映画でも使われている内容ですね。
災いはどれも恐ろしいもので、十番目が起こった後に、
ファラオは遂にイスラエル人を自由にすることを認めました。

「Paris Psalter 写本より  950年頃」
しかし、モーセ率いるヘブライの民がエジプトを出ようとすると、
ファラオは心変わりをして軍を出動させます。

「Andrea Previtali 作  15世紀後半-16世紀前半」
背後は紅海。背水の陣の、絶体絶命の大ピンチです。
その時、モーセは大仰に杖を振り上げました!

「コジモ・ロッセッリ作  15世紀後半-16世紀前半」
すると、紅海が真っ二つに裂けたではありませんか!
このシーンはモーセを知っている方にとって、有名な場面ですよね。

「二コラ・プッサン作  1633年」
イスラエルの民が海を渡り、エジプト軍が後を追おうとしましたが、
海はあっという間に元通りになってしまい、彼等は海に沈んでしまいました。

「マルク・シャガール作  20世紀」
こうしてイスラエル人はエジプトから脱出することに成功し、彼等自身の
土地を目指して荒れ野を旅することになるのです。

「フィリップ・ド・シャンパーニュ作  1648年」
その後、モーセは神と会って二枚の石の板を授けられます。
そこには十の律法が書かれていました。それを十戒と呼びます。

 

十戒 (ユダヤ教の場合)

1. 私は永遠にあなたの神であり、エジプトからあなたをを救い出した。
2. あなたは他に神を求めてはならず、偶像を造ってはならない。
3. わたしは永遠の神の名をみだりに唱えてはならない。
4. 安息日を覚えてこれを聖としなさい。
5. あなたの父と母を敬いなさい。
6. 殺人を犯してはならない。
7. 姦淫してはならない。
8. 盗んではならない。
9. 偽証してはならない。
10. 貪ってはならない。

―Comments by Dr Marks氏 より

 

「ロシアのイコン  18世紀」
ユダヤ教の戒律は厳しいと聞きますが、この十戒の中においては
6割くらい日本でも通用しそうです。キリスト教で伝えられる十戒は
微妙に内容が違います。ていうか、モーセさんの頭が仙人みたい
になっておりますよ!

「レンブラント・ファン・レイン作  1659年」
十戒の石板はモーセ自身がぶち壊して粉々になってしまいますが、
石板は再びモーセの手に渡り、イスラエルの民の指針となりました。

 旧約聖書を調べていると、ヘブライ人、イスラエル人、ユダヤ人と様々な名称があり、違いはあるのかないのか、訳が分からなくなってきたので調べてみました。これらに明確な違いはないようですが、微妙にニュアンスが異なるそうです。なるほど、勉強になりました。

ヘブライ人・・・「国境を越えて来た者」という意味を持ち、異民族に自分達を紹介する時に使う名称。
イスラエル人・・・「神が戦う」という意味を持ち、神がヤコブに与えた民族の名称。
ユダヤ人・・・最初はユダの部族を指していましたが、バビロン捕囚の後に部族全体を指すように。

→ ヤコブがイスラエルの名称を与えられる物語についてはこちら
→ モーセのその後の旅の絵画を見たい方はこちら

 

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