イエス・キリストの復活の絵画10点。三日後に蘇る救世主は、聖書内の最大の神秘 | メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

イエス・キリストの復活の絵画10点。三日後に蘇る救世主は、聖書内の最大の神秘

スポンサーリンク

 あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。2017年最初の記事はおめでたい内容にしまして、キリストの復活を紹介しようと思います。

 「十字架にかけられて三日後、私は復活するだろう」という予言を残して処刑されたキリスト。祭司長はその言葉が不安になり、キリストの墓に数名の番兵を付けます。そして三日後、一人の天使が現れ、墓石を押し上げてその上に座るという事が起こりました。番兵はすっかり怖気づき、祭司長の元へ走りました。
 一方、キリストの仲間である女性たちが墓へ行ってみると、石は動かされ、もぬけの殻になっていました。思い浮かんだのはキリストの遺体が盗まれたということ。彼女らが真っ青になっていると、白い天使が出現し、「イエスは復活し、ここにはおりませんよ」と言いました。女性たちはそれを半信半疑で聞き、使徒たちに伝えました。彼等もにわかには信じがたく、盗まれたのではないのかと思っていました。
 遺体が消えてマグダラのマリアが泣いていると、背後から「どうして泣いているのだね?」と訊ねる声がありました。マリアが事情を伝えると、声は優しく彼女の名前を呼びました。その声が紛れもなくキリストのものだったので、彼女は酷く驚きました。こうしてキリストは使徒たちの前にも現われ、自らが復活したことを証明します。

 このキリストの復活は聖書のクライマックスだけあって、多くの画家が劇的に描き出そうとしています。物語を多少捻じ曲げても栄光ある救世主を描いた、数々の作品10点をご覧ください。

 

「ハンス・メムリンク作  1490年」
白い衣を着た天使が石を動かし、キリストがよっこいしょと墓から出て
います。兵士たちはだらだら眠っており、復活に全く気付いていません。

「ノエル・コワペル作 1700年」
天使が墓を動かすと、キリストがびゅんっと飛び出ています。
兵士たちはその事態にパニック状態。マグダラのマリア達とみられる
女性たちが奇跡を見上げています。

「ジョヴァンニ・ベリーニ作  1475年」
墓石のもぬけの殻に驚く兵士と、奥には様子を見に来た女性たち。
上空ではキリストが成り行きを見守っています。

「ラッファエリーノ・デル・ガルボ作 1510年」
墓石を転がして空中に浮かぶキリスト、天使の存在はありません。
兵士たちは気絶したりおののいたり、潰されたり。

「バルトロメ・エステバン・ムリーリョ作 1658年」
夜明けにキリストが輝きながら復活しています。
兵士たちはぐっすりと眠っており、気付く者はいません。

「パオロ・ヴェロネーゼ作 16世紀」
飛翔するキリストにビビって逃げ出す兵士。画面右奥に天使の姿が。

「アンソニー・ヴァン・ダイク作 1631-2年」
白い衣服を着たキリストが出現!兵士は逃げておりますが、
寝ながら逃げている器用な人も。

「ピーテル・パウル・ルーベンス作  1611-2年」
見事な肉体をさらすキリストに、目が、目が~!と眩しがる兵士たち。
そんな裸体で現われちゃ、兵士たちも目のやり場に困りますよね。

「Pieter Claeissens (父) 作  16世紀」 
放たれる波動でゴゴゴゴゴ・・・と地響きが起こりそうなキリスト。
天使達が大量に現われ、兵士たちは成す術もなく転がっています。

「マティアス・グリューネヴァルト作  1510年」
まさに復活!といった風情のキリスト。新年に見ると縁起が良さそう。

 墓石に現われたのは白い天使で、キリストは後になってからマグダラのマリアの前に現われます。物語と比較して、絵画の多くがその通りではないという事が分かります。
 でも、その気持ちは分かります。描くとするならばモチーフを詰め込みたいし、劇的なシーンにしたい。主人公はキリストなので絶対に外せない。物語に準じるだけでは平坦な絵画になってしまう。それだから画家たちはキリストを天使と共に描いたり、天使と混同させたり、物語にはない事を描くのです。
 また、兵士たちが眠っている絵画がありますが、奇跡を信じたくない番兵たちはキリスト側を陥れようと、「使徒たちが我々の寝ている間に、死体を盗んでいった」というデマを広めようとする、という記述に由来しているように思えます。私は物語を気にしてしまいがちなので、必ずしも内容に準じていなくても良いのだな、と一つ勉強になりました。
 それでは皆様、2017年もよい年でありますように!

 

【 コメント 】

  1. 管理人:扉園 より:

    >> 季節風様へ
    こんばんは。
    ガリガリの青白い姿から一転、輝くつるっつるの卵肌になりましたよね^^
    死→生の移り変わりを劇的に表現したからかもしれません。
    現実的に考えると不思議ですよね。
    聖書は現実だけではなく、伝聞や想像、伝説などを組み合わせて作られたので、そのような「誰が伝えたの?」と思うようなお話もありますね。
    誰も目撃していないとしても、聖書が「復活した」と語っているからそれが真実と考え、画家はその話をたくましい想像力で補間して描いたのでしょう。

  2. 季節風 より:

    どのキリスト様も生前?より肉付きがいいですね。風呂上りみたいに綺麗だし。
    バルトロメ・エステバン・ムリーリョ作の見張りの兵士たちが全員寝ていて世紀の瞬間を誰も見ていないのは、どうしてこの事実が今まで伝わっているのか不可解になってしまいます。
    他の画家たちは敢えて目撃者がいた設定にしたのでしょうか。

タイトルとURLをコピーしました