ピエタは聖母子像の中で、息子キリストの遺体を抱く母マリアを表した作品のことを指します。哀れみ、慈悲という意味を持ち、マリアが悲しみや嘆き、慈悲の表情を浮かべています。絵画、彫刻において人気のある主題であり、多くの作品が残っております。
ピエタの彫刻作品12点をご覧ください。個性的なマリア様の表情にも注目です。
「ミケランジェロ・ブオナローティ作 1498-99年」
ピエタを表した彫刻で最も有名な作品。マリアの穏やかな様相、
柔らかい布の質感、肉体の表現など美しく、圧巻としか言いようがありません。
「スペイン出身の作者 年代不明」
布や肉体の表現が似ているので、ミケランジェロの作品を意識して
作ったのでしょうか。慈しみ深い美しい作品です。
「大司教の司教区博物館にある作品 年代不明」
慈悲深き表情を浮かべている面長のマリア様。バランスを見ると、
キリストがかなり小さいような。ピエタの彫刻において、
理由は謎ですがこの現象は結構見られます。
「ドイツにある作品 15世紀」
眉をハの字に曲げ、悲しみを表しているマリア様。
片手で上半身を支えているなんて凄い腕力です。
「tosco-emilianoにある像 16世紀」
柔らかい光が注ぐ、神聖なピエタ像。キリストがブリッジ状態です。
「作者不明の聖母子像 16-17世紀」
キリストが小さめに作られるのは、母に包まれるイメージを持たせる
為でしょうか。それとも、死を際立たせる為?・・・と思っていましたが、
彫刻ならではの即物的な理由によるそうです。キリストを小さく作らない
と、素材の重さを支えることができないよう。なるほど納得です。
「ドイツにある作品 1375-400年頃」
キリストはガリガリで、肋骨が浮き出ています。目を閉じたマリアは
我が子の悲惨な姿に深く悲しんでいるように見えます。
「ヴェルミヒにある聖マルティン教会の像」
顔が黒で塗られている「黒い聖母子像」はたまに見られる像のようで、
異文化が混じり合った結果だとか。詳しい内容が書籍「黒い聖母と悪魔の謎」
に書かれています。結構面白かったので、一番下に紹介しました。
「ドイツにある像 1330年」
キリストの血の描写が、砂鉄の塊や冷えたマグマを連想させて恐い。
えっと、マリア様・・・。怒ってらっしゃる?
「作者、年代共に不明」
ん、マリア様?日本の僧侶?なんだか日本文化の匂いがするピエタ。
頬を少し膨らませているように見える謎。
「モアサックの聖ピエール修道院 1476年」
ま、マリア様、見下してらっしゃいますか?
慈悲ですよね?愛しそうに見てるんですよね?
相手の表情を気にするとされる日本人。私自身も気になっちゃタイプですが、感情の表現は万国共通ではなく、日本と西洋の感覚は違うのでしょうか。これらの彫刻作品を見ていてそう思いました。中世時代の彫刻は「えっ!?」と思うような表情を浮かべるものがあります。大事なのは聖霊だから見た目は気にしないのか、はたまた感覚が違うのか・・・。奥深いです。
慈悲、哀れみ、嘆き、敬虔。そういった感情の表情を作るのは難しいかもしれませんね。
【 コメント 】
>> オバタケイコ様へ
ガチャは知らなかったです!
小さいとつい揃えて並べたくなっちゃいますね~。
パンダさんもかわいいですよね^^
TVで放映されたんですね!ガチャもあるそうです。
タコさん、可愛いですね(*^-^*)ハシビロココウの鋭い目つきがいい。
私はぐったりしてるパンダがツボでした(笑)
>> オバタケイコ様へ
こんばんは^^
ピエタは慈悲や悲しみのシーンなのに、マリア様の表情が豊かなのは興味深いですよね。
かわいいキャラがいるはずの公園に不気味なキャラがいる、とか交通など公共の看板なのに奇妙なイラストになっている、みたいに感じてしまいます。(世俗的に考えてすみません^^;)
木造の作品だと絵画とまた違った迫力がありますよね。
かわいい~!!
脱力した感じがたまらなく素敵ですね^^
形式はピエタだけど、大根持ってるとか面白いです。
特にタコさんが好きです。あとハシビロコウもかわいい。
たしか、この作家さん何年か前にTVで観たことがあります。
ナニコレ珍百景だったかしら…?
窓際に置いたらかわいい&おしゃれですね~^^
マリアの表情がバラエティに富んで面白いですね。 なるほど、キリストが小さいのは重さのバランスがあるからなんですね。
傷が生々しい作品、怖いなーと思ったら、「ドイツにある像 1330年」が一番衝撃的でした!( ゚Д゚) 血の描写が、砂鉄の塊や冷えたマグマ、まさにそんな感じですね。マリアの顔がメッチャ怖い。。。
ところで、先日面白い作家さんんを見つけました。ピエタシリーズの作品があったので載せます。https://twitter.com/shidokou/status/1519988689564499970
木彫作家さんですが、これらはピエタを意識して作っておられます。可愛くて怖くて面白いですよ!
>> 季節風様へ
こんばんは^^
ミケランジェロのピエタは傑作以外の何物でもありませんね。
マリア様の表情、柔らかなひだ、キリストの様子など全てが美しいです。
慈悲の表情や幼子イエスの顔などを「恐い…」と感じてしまう作品があるのは、中世時代によるものなのか、私達日本人の感覚なのか、どちらなのでしょうね^^;
キリストや聖母マリアは信仰の対象である為、「美しいや可愛い姿ではなく、むしろ厳しく近寄りがたい存在である」と中世の画家は考え、そのような表情にしたとか…。
興味深いですね。
扉園様。
こんばんは。
ミケランジェロ(1498-99年)の作品は若く見える母が大きな息子の亡骸を膝に乗せて、息子の労をねぎらっているように見えます。聖母子の御魂が感じられる彫刻だと思います。
「モアサックの聖ピエール修道院」日本人は控えめな表情が多いので西洋の絵画や彫刻の顔の表情はたまに違和感を感じます。
>> 美術を愛する人様へ
こんにちは、初めまして^^
段々と作品に対する文章がおかしくなってきているんです(笑)
情報ありがとうございます!
謎が解明されてスッキリです。
ミケランジェロのピエタも二人の大小バランスが変なんですね。見事な作品だから言われるまで気付きませんでした…。確かにマリア様がたくましいw
ロダンとかヴィーゲランとか結構無理そうなポーズを取っている作品があるので、彫刻ならではの規制があることに思い至りませんでした。
中世~ルネサンス時代においては難しい技術なのですかね。(あと、素材の違いもあるのでしょうか…)
随時更新していきますので、これからもよろしくお願いいたします^^
初めまして。
今日こちらのサイトの存在を知りました。
コメントが一つ一つとても面白くて楽しく拝見させていただいております。
ピエタの彫刻においてなぜイエスの身体が小さい作品が多く見られるのか、ピエタ(ミケランジェロ)のWikipediaにそれに近い理由が載っていたので抜粋します。
ピエタにおいてイエスをマリアの膝の上に載せて描くのは絵画においては珍しくないが、彫刻においては困難であり、イエスがマリアにもたれかかるような形をとることの方が多い。成人男性であるイエスの頭や足は当然マリアの膝からはみ出ることとなり、その大理石の重さを支えるものがなくなるという即物的な理由からである
これからも更新楽しみに待っています!