聖母子像は、聖母マリアと幼児キリストを共に描いた図像のことを指します。
中世から現代にかけて非常に人気のある主題で、親子愛を描いた神秘的な作品が多く残されています。しかし何を思ったのか、中には個性的で突っ込みどころがある聖母子像も存在します。当時と現代の感覚が違うから生じることかもしれませんが、「どうしてこうなった?」と思わずにはいられない作品14点をご覧ください。下に行くにつれてレベルアップしていきます。
「アルブレヒト・デューラー作 15世紀後半-16世紀前半」
眉毛のセットをしっかりさせすぎたマリア様。お手入れも大事ですが、
ここまで吊り上がっているとキツそうに見えてしまいますよ。
「ルーカス・クラナッハ(父)作 1529年」
少女漫画のごとく、髪がたなびいているマリア様。
聖母は髪のお手入れも欠かせません!
「ルーカス・クラナッハ工房作 1520年」
キリストとヨハネの顔が・・・!顔が中央に凝縮されている!
「リッポ・メンミ作 1350年」
一重で切れ長、のっぺりとしたお顔のマリア様。
キリストがマリアに見せているのは何だろう。葉っぱ?
「ジョット・ディ・ボンドーネ作 (部分) 1287年」
将来有望なお相撲さんになりそうな予感。いかついです。
「アントニオ・ヴェネツィアーノ作 1380年」
口に手を突っ込まれて、キリストが驚いています。
握り絞められた鳥がかなり苦しそう・・・。
「ドゥッチョ・ディ・ブオニンセーニャ作 1281年」
キリスト抱っこされるのをかなり嫌がっています。
反抗期の息子にマリア様はほとほと困っている様子。
「ハンス・バルドゥング・グリーン作 1527-28年」
挑発的なマリア様に、お乳を飲みながらのカメラ目線のキリスト。
不気味な天使も合わさり、なんだかガラが悪そうに見える聖なる人達。
「ハンス・バルドゥング・グリーン作 1539年」
長く見つめていると異次元へ飛ばされてしまいそうな絵画。
右奥のケルビム (?) が何処かへいざなっています。
「アンドレア・マンテーニャ作 1495年」
キリスト、白目、白目!
「Sano di Pietro 作 15世紀」
のぺっとしたお顔の集合体。おじさまは上手なのに、マリア様とキリスト
はどうしてのっぺりしてしまったのだろう・・・。毛の問題?
「作者不詳 中世絵画」
恐い!笑顔が恐すぎるよマリア様!
日本の能面を想起させる表情。夢に出てきてうなされそうです。
「パオロ・ウッチェロ作 15世紀」
キリストが悪魔化していませんか!?
変異してしまった息子を見て見ぬふりをするマリア様・・・。恐ろしい。
中世の作品はリアルに描くことを拒み、禁欲的で図像的なものばかりなのですが、それにしても後半の作品はそれだけでは済まされない何かがあるように思えます。信仰すべき存在なのに、これでいいのでしょうか。白目でいいのでしょうか・・・。やはり、当時の方の感覚が違うのでしょうかね。そうしましょう。
【 コメント 】
>> オバタケイコ様へ
こんばんは^^
やはりレンチンの即席料理と時間をかけて作った料理は違いますよね。
忙しい現代でこそゆったりした時間の流れでありたいですが、手間かけジレンマは困ってしまいますよね。
私もゆっくり時間を使いたいけど足りなくなる葛藤を抱えています^^;
あと、分からない事は何でもネット検索してしまいがちですが、当時は人に聞いたり自分で調べたりして情報を得ていたのですよね。
百聞は一見に如かず。道具に頼らないような経験値も上げていきたいです。
同感です!何でも手間をかけただけの事はありますよね。料理も然り。私はレトルトやレンチンだけで出来る料理に抵抗があり、結局時間をかけ過ぎて他の事が出来なくなるというジレンマ。。。個展を終えてからは描いてないですが、再開するにはもうちょっと手抜きしないと!今は便利な時代ですが、手間ひまかけて全てをやっていた時代は素敵だったと思います。
>> オバタケイコ様へ
こんばんは^^
最近は絵を描く行為をパフォーマンスとして、観衆の前でスピーディに格好よく仕上げるという作品もありますよね。
便利な画材やデジタル画も普及し、なんというか美術が手間をかけずにできる存在になりつつあるように感じます。
勿論そのようなものばかりではありませんが…。
当時だと一つの作品に数か月~数年かけるのが当たり前であったのでしょうね。
現代よりも色彩や画材が限られている分、そこに調和やこだわりが感じられて素敵です^^
やはり金箔でしたか!金箔は日本独自のものだと思ってました。気の遠くなるような作業ですね。スピードを良しとする現代とは違って、時間の流れ方がゆっくりなのでしょうね。感動しました!(*^-^*)
やはり金箔でしたか!金箔は日本独自のものだと思ってました。気の遠くなるような作業ですね。スピードを良しとする現代とは違って、時間の流れ方がゆっくりなのでしょうね。感動しました!(*^-^*)
>> オバタケイコ様へ
こんばんは^^
つっこみ部分と同じくらいに神聖で美しい作品ばかりですよね。
リッポさんやアントニオさんの黄金模様の背景は、中世に用いられた技法で、ニカワを混ぜた白亜(炭酸カルシウム)を何層にも重ねて厚みを出し、装飾を彫刻して、金箔を貼っております。
白亜地の技法を何度かやったことがあるのですが、塗って乾かしてを幾度も繰り返し、ムラができるのでヤスリで削って表面を滑らかにして…ととにかく大変で面倒でした^^;
彫刻ができるまで厚く塗り重ねた作者さんの根気は並大抵のものではないと思います。
金箔もとても高価なものですし、聖母子画に対する熱意や信仰心が伝わってきます。
この時代の作品も素晴らしいものばかりですよー!^^
このページの絵に魅了されました。やはり、聖母子像、ツッコミどころは満載ですが、崇高な信仰心が伝わってきます。ヘンなところ沢山ありますが、美しい絵が多いですね。特にリッポ・メンミ作やアントニオ・ヴェネツィアーノ作の背景の細かな黄金色の描きこみ、実物が見てみたいです。溜息が出ちゃうだろうな。この時代の絵、あまり知らなかったけれどいいですね!
>> 美術を愛する人様へ
こんばんは^^
本当ですね!さりげなくピースしてらっしゃいましたw
こうやって見ると、日本と西洋の様式って全く異なっているという事はなく、似通っている部分もあるのだなぁと思います。(ピースではなく容姿や微笑みについてです^^;)
笑顔が怖い作者不詳の中世作マリアは、よく見るとピースしてるし!!笑
面白いです!!