クリストフォロスは3世紀のローマ帝国時代に生きた聖人で、元々はレプロブスという名前でした。
ある日、小さな男の子がレプロブスに「川を渡りたい」と言いました。彼はお安い御用とばかりに男の子を担ぎ、急な川を渡り始めます。しかし、軽かった男の子は進むにつれて段々と重くなり、レプロブスは倒れそうになってしまいました。彼が丁寧にその名前を訪ねると、男の子はイエス・キリストと名のりました。キリストは全世界を背負っていた為に重かったのです。レプロブスはキリストに仕えることを約束し、「キリストを背負う者」という名のクリストフォロスという名前に改名しました。
彼は交通安全の聖人として、多くのキリスト教徒に信仰されております。画家たちもクリストフォロスを敬愛し、聖画を多く残しました。キリストを背負う聖人をご覧ください。
「中世のイコン」
大人びたキリストが少し不気味。彼が持っていた杖を地面に
突き刺したところ、杖が巨木に変化したという逸話もあります。
「ドメニコ・ギルランダイオ作 15世紀」
ひょうきんに見えるクリストフォロス。腰に当てた手が粋です。
「ヒエロニムス・ボス作 1500年頃」
手前の魚はキリストを、熊の死骸は悪に打ち勝ったことを意味しています。
しかし背後には怪物に襲われる人が。悪がまだ存在している事を示しています。
「刺繍入りの葉を描く親方作(Master of the Embroidered Foliage)15-16世紀」
渋いお顔のクリストフォロス。いぶし銀ですね。
「ディルク・ボウツ作 1468年」
いぶし銀パート2。負けじと踏ん張っております。
「クエンティン・マサイス作 15世紀後半-16世紀前半」
いぶし銀パート3。
「コンラート・ヴィッツ作 15世紀」
重たくてよろよろになっております。他より川が深めです。
「ルーカス・クラーナハ作 1516年」
重たいけれど踏ん張るクリストフォロス。というか、キリストの顔の膨れが。
というか、下にいる謎の人魚は・・・!?
「Orazio Borgianni作 16世紀後半-17世紀前半」
お若い感じのクリストフォロスに、モヒカンに見えるキリスト。
キリスト、やんちゃでガラが悪く見えますよ!
「ティツィアーノ作 1524年」
キリストを見上げ、驚嘆と敬愛の表情。素晴らしい絵です。
「ピーテル・パウル・ルーベンス作 1612-1614年」
雷神トールのような勇ましいおっちゃんクリストフォロス。
こんな聖人も悪くないように思えます。
責任やプレッシャー、悩み事など人は誰もが重荷を背負って生きています。そんな重荷など放り投げてしまいたくなりますが、そこはクリストフォロスのように踏ん張って着実に前に進んでいけば、いつかは報われるかもしれない。これらの絵画を見て、そんな事を思った管理人でした。
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