マグダラのマリアの悔悛の絵画13点。己の罪を反省する聖女を描いた、人気の主題 | メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

マグダラのマリアの悔悛の絵画13点。己の罪を反省する聖女を描いた、人気の主題

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1533 ティツィアーノ -

 マグダラのマリアは自らの罪を悔い改め、キリストに付き従った聖女です。
 キリストが磔刑され、三日後に復活して天へと昇った後、彼女は兄のラザロと姉のマルタと一緒にフランスのマルセイユへと渡りました。そこで布教活動を行い、晩年には洞窟で隠遁生活を行いました。その生活は30年余り続き、亡くなったとされています。十字架と頭蓋骨を前にし、自らの罪を悔悛する主題は人気があり、多くの画家に描かれています。
 早速マグダラのマリアの悔悛についての絵画13点をご覧ください。

→ マグダラのマリアの人生についての絵画を見たい方はこちら





「作者不詳 写本の挿絵  1516年」
十字架を手にして涙を流しているマグダラのマリア。
洞窟で隠遁生活をしている時、彼女は衣服を身につけず、長い髪で
身を包んでいたとされています。この作品では隠しきれてませんが・・・。
頭上ではマリアの魂が天へと昇っていく様子が描かれていますね。
Mary Magdalene  1516

チゴリ作  1559 – 1613年」
髪は非常に長いですが、こちらも少し見えてしまっているマリア様。
悔悛するマリアの側には頭蓋骨と磔刑図、聖書が描き込まれる場合が
多く、「死は万人に訪れる。死の前に悔い改めよ」というメッセージが
込められているのです。
Lodovico Cardi, called Il Cigoli  1559 - 1613

オラツィオ・ジェンティレスキ作  1563-1639年」
辛そうな表情を浮かべているマリア様。ある説によると、彼女は
キリストと結婚し、子供を授かっていたとされています。もしかしたら
罪の悔悛だけではなく、キリストが無惨に処刑され、天界へと
行ってしまった事を悲しんでいるのかもしれません・・・。
Magdalena Gentileschi, Orazio

「ティツィアーノ作  1533年」
こちらは悔い改めているというより、天啓を受けているようですね。
長い髪と腕の隙間から豊かな胸が覗いており、セクシーさを感じさせる
作品です。左下の物はマリアのアトリビュートである香油です。
1533 ティツィアーノ

「ティツィアーノ作  1565年」
上記の作品の32年後に描かれた作品。マリアさんは小さめに
なっており、風景や聖書、頭蓋骨が描き込まれております。
最も変わったのは衣服を着ていること。初代作品は「破廉恥だ」と
言われてしまったのでしょうかね・・・。
Titian_-_Penitent_St_Mary_Magdalene_1565

「ティツィアーノ作  1567年」
更に二年後に描かれた作品。一見同じように見える作品ですが、
風景や香油の形が異なり、衣服がもっと肌を隠しております。
「やっぱりまだ破廉恥だ」と言われてしまったのでしょうか。
Titian_-_St_Mary_Magdalene 1567

カルロ・ドルチ作   1616-86年」
ハンカチを持ち、涙を零すマリア様。頭蓋骨が大きく口を開け、
笑っているように見えるのとは対照的ですね。
もしかしたら美女でも死は訪れるという「死と乙女」というテーマも
内包しているかもしれません。
Penitent Mary Magdalene  Carlo Dolci  1616-86

「アンソニー・ヴァン・ダイク作  1620-35年」
ルーベンスの愛弟子に相応しい、圧巻の肉体ですね^^;
こちらは珍しく天使と思われる子供が香油を持っているようです。
Penitent Mary Magdalene  Anthony van Dyck  1620-35

ニコラス・レニエ作  1591-1667年」
暗闇の中で発光しているかのような肌と金髪。頭蓋骨を膝に抱き、
上を向いて零れそうな涙をこらえているかのようです。
美しい作品です。
Nicolas Régnier Penitent Mary Magdalene 17th

マッティア・プレティ作  1613-99年」
彼女の隠遁生活は30年に渡ったそうです。この作品では縄で
編んだような粗末な服を着ておりますね。ちなみに初代の隠者は
聖パウロとされており、彼も粗末な服を着ていたそうです。
Mattia Preti Magdalena Penitente

「Giovanni Maria Viani 作  1636-1700年」
豊かな金髪に金の衣服。その美しさはまるで彼女が天使である
かのようですね。他の聖人もそうですが、頭に後光を付けて描かれる
場合があります。この作品は後光がはっきりとしていますね。
Giovanni Maria Viani Magdalena penitente

ジャンピエトリーノ作  1495-1549年」
マリアさん、か、悔悛してるのかな・・・?
中には「悔い改める」というテーマを無視した、ちょっとセクシー度が
強い作品も存在します。罪の女という過去の肩書き故なのかな・・・。
 Giampetrino (1495-1549)

「作者不詳   17世紀頃」
なんか魔女化しとる!
晩年を描いた作品なのだと思うけど、これは可哀想に思えて来た・・・!
Magdalena Anònim castellà  XVII

 マグダラのマリアの遺体はフランスのエクス・アン・プロヴァンス郊外の、サン・マクシマン・ラ・サント・ボームという場所に葬られたとされています。その後、頭蓋骨は9世紀後半の頃にヴェズレー修道院の修道士が持ち帰ったとされており、13世紀後半になってマグダラのマリアの遺骨として発見され、サント・ボーム洞窟の近くにあるサン・マキシマム教会に安置されました。この頭蓋骨は13世紀に「本物である」と教皇のお墨付きを得られており、現代においてもこの教会でマグダラのマリアの頭蓋骨を見る事ができます。

 そして2017年9月に、YouTubeでマグダラのマリアの素顔が公開されました。最新技術を用いて頭蓋骨から予想、復元した素顔であるそうです。思慮深そうな美しい女性ですよね^^
 調査した人たちによると、「髪の色はダークブラウンで地中海沿岸に住んでいた人種であり、50代前後で亡くなった女性」であるそう。復元技術はまだまだ完璧ではなく、この頭蓋骨もマリア本人のものとは断定できないので、全然違う姿かもしれません。しかし、私は当たらずも遠からずのような気がします。
 新たな調査結果が出てくるのを期待したいですね^^


 

リンク先https://www.youtube.com/watch?v=ARzeCHuz8_I

→ 死と乙女についての絵画を見たい方はこちら


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