キリストの五つの傷 (聖痕) の絵画14点。救済の概念を絞りすぎてシュールな姿に | メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

キリストの五つの傷 (聖痕) の絵画14点。救済の概念を絞りすぎてシュールな姿に

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Simon Bening, Worship of the Flemish 1525-30 -















Abraham Aubry after Johann Toussyn German 1651-1700






Master of the Legend of Mary Magdalene





Woodcut from an English blockbook 1495





unknown German artist 1484-92






Five Wounds  Christ Single Leaf from a Manuscript German, 1469





Page from a Medical Religious Miscellany English 1475-1550





Composite Window of  Stained Glass English 15th

ヴァルトブルク時祷書の挿絵より  1486年頃」
大空の中でバンザイしているように見える、五つの傷さん。
心臓のど真ん中をぐっさりとやられてしまっています。
手足の生え方が雲に巻かれているようであり、独特の表現ですね。
もうこういう生物のように思えてきました。このまま浮いてそう・・・。
Waldburg-Gebetbuch, WLB Stuttgart 1486

「イギリスの書籍の挿絵より  1495-1505年頃」
こちらはハートから手足が生えてしまいました。もう既に一種の
生命が誕生してしまいました。これが私達の原罪をあがなった
イエス・キリストであると紹介されて、当時の人々は納得したの
でしょうかね。怒らないのかな・・・。
The Sacred Heart of Jesus from a Prayer Roll English, 1495-1505

サイモン・ベニング作  1525-30年」
天使に導かれた手足心臓だけのキリストが現出し、教皇や司祭、
信者の人々は深い祈りを捧げています。私から見たらせめて
顔は描いてあげよう!と思うのですが、五つの聖なる傷だけの
表現で良かったのでしょうかね・・・。
Simon Bening, Flemish 1525-30

「イギリスの彩色写本の挿絵より  15世紀」
心臓は描かれず、画面いっぱいに描かれた傷で胸の傷を表現して
います。なんかもう恐ろしい事件か、ホラー映画にしか思えない作品
ですね。この手足が廊下を浮遊して来た日には・・・。気絶します^^;
The Five Wounds Of Christ, English Manuscript; XV

「作者不詳 フランス 1700-25年頃」
こちらは五つの聖なる傷から離れ、傷のついた心臓だけとなった
キリスト。表現が行くところまで行った結果、手足すら無くなって
しまいましたね・・・。天使達が祝福と祈りを捧げる中、
神と鳩(聖霊)とキリストで三位一体を成しています。 
French, 1700-25 Paray-le-Monial

「Jose de Paez作  1770年」
こちらも手足がなくなり、傷のついた心臓だけとなった姿。
ここで注目すべきは心臓の形です。ここに来てかなりリアルに
なりましたね。医学の発展が絵画に影響を与えました。
祈る二人は聖イグナチオ・デ・ロヨラと聖ルイス・ゴンザーガです。
Jose de Paez, Igmatius of Loyola Louis Gonzaga  Mexican 1770

「Loftie Hours の挿絵より  15世紀半ば」
時代は過去に戻りますが、五つの傷の究極の到達点はこれでは
ないでしょうか。キリストの姿は何もかも消え、あるのはただ傷口のみ。
概念や表現の複雑さを削っていった結果、こうなったのでしょうかね。
なんかもう、そのアイデアに脱帽です。
Leaf from Loftie Hours Five Wounds of Christ 15th mid

 どうしてそのような現象が起こるか解明されていませんが、キリストの受けた五つの「聖痕」は、宗教を深く信仰する信者たちの身体にも生じる事があります。外的な要因なくして、手足や胸が痛み、血が流れてくるのです。聖痕が確認され出したのは13世紀頃だとされ、信心深い女性に多いとされました。列聖に加えられた修道士の者の中にも聖痕が生じた者がいました。伝説によると、聖痕が生じる前にキリストや聖母マリア、天使の姿を見たり、声を聞いたりするとされ、傷口から芳香を発することもあるそうです。
 そのメカニズムは全く分かりませんが、一種の強力なシンパシー(共鳴)が原因なのではないかと考えられています。これらの絵画を顧みてみると、当時の人々がどれだけキリストの聖痕を重要視し、強調したかったのかは感じられますね。この凄まじい熱意が超常現象を生み出したのかもしれません・・・。

→ キリストの磔刑についての絵画を見たい方はこちら


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