聖母の被昇天の絵画12点。マリアは死後、天使に連れられて天国へと上昇する | メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

聖母の被昇天の絵画12点。マリアは死後、天使に連れられて天国へと上昇する

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 カトリック教において、聖母マリアは亡くなったあと三日後に復活し、天国へ昇天したとされています。
 「聖母の被昇天」と呼ばれるマリアの復活の場面はたくさんの画家に描かれ、ルネサンスやバロック時代を中心に残されています。伝説では三日後に聖トマスらが墓を覗いてみると、マリアは忽然と消えていた、となっているのですが、天使を伴って天へと昇っていくマリアの姿が描かれる場合が多いです。(時に十二使徒も描かれます) 被昇天の日は始め1月18日だと考えられていましたが、6~7世紀頃に8月15日と改められ、祝日とされました。現在に至ってもマリアの復活の祝祭が行われています。
 神秘的な「聖母の被昇天」の絵画、12点をご覧ください。
→ マリアの死についての絵画を見たい方はこちら

 

「作者不詳  15世紀」
黒い衣服に身を包んだマリアは手を合わせ、祈りを捧げています。
その周囲には音楽を奏でた天使たちが彼女を祝福し、天では
神がマリアを出迎えています。両サイドの者達は殉職した聖人らでしょうか。

「ティツィアーノ・ヴェチェッリオ作   1516-18年」
最も有名な聖母の被昇天の作品。縦に長い作品はマリアの天界への
上昇を如実に伝えています。下では十二使徒たちが空を仰ぎ、
中央では天使に囲まれたマリアが天を仰ぎ、最上には神の御姿が。
赤い雲の部分をよく見ると、すべて天使の顔になっているんですね。

「ティントレット作   1518-94年」
こちらはまだ復活したばかりといったマリア。棺桶から出た彼女は
天使に支えられ、上昇しようとしています。(一人じゃ重そうです・・・)
宙を舞っている頭と羽だけの天使はケルビムかセラフィムです。

「ティントレット作  1594年」
セピア色がいにしえの神秘の雰囲気が出ていますね。
ティントレットはどうもマリアを天使一人に支えさせたいんですね。女性
だから重くないよ!という配慮とか・・・?

「グイド・レーニ作  1580年」
十二使徒や棺桶を排除して、マリアと数名の天使というシンプルな構図。
ごちゃごちゃしていない分、存在感が目立ちます。足首を支えている
天使は楽しそうなんですが、下を支えているケルビムがきつそうな
顔をしているような・・・。

「グイド・レーニ作  1617年」
レーニが後年に描いた聖母の被昇天は十二使徒とマリアの二段構造に
なっています。どうして“被”と付くかというと、マリアはキリストの力に
よって天界へ行けたからだそうです。受けた側、という意味で“被”が
用いられているんですね。

「ピーテル・パウル・ルーベンス作  1609年」
墓を隠す岩をどけた十二使徒は遺体がないことに驚愕。女性たちが
包んであった白布を確認しています。上空では復活したマリアが
キリストに王冠を授けられようとしています。
王冠を受ける場面は「聖母戴冠」とも呼ばれます。

「ピーテル・パウル・ルーベンス作  1611年」
こちらもルーベンス作。伝説には女性信徒は描かれていませんが、
ルーベンスは二つの作品どちらも描かれています。彼の作品には
夭逝してしまった妻が描かれている場合があるそうなので、もしかしたら
奥さんの姿なのかもしれません。

「二コラ・プッサン作  1638年」
棺桶の中から静かに上昇しているイメージを抱く作品。
天使が蒔いているものは薔薇だと思います。棘のない薔薇はマリアの
アトリビュートとされています。
→ アトリビュートについて知りたい方はこちら

「アンニーバレ・カラッチ作  1600-01年」
被昇天というより飛翔をしているかのようなマリア。
青い布で天使を包み、さぁ連れて行ってあげるわ!とアグレッシブな
姿に見えますね。このケルビムは踏まれても笑顔です。

「ニコラ・グラッシ作  1682-1748年」
天界へ上昇しているのが非常に幸せそうに見えるマリア。
彼女は息を引き取る際、天国へ行けることを楽しみにしていたそう。
やっと息子に会える!という気持ちだったのでしょうかね。

「Guillaume Courtois 作  17世紀」
こちらも飛翔しているかのようなマリア。昇天の仕方も直立だったり、
座っていたり、飛んでいたりとバリエーションがありますね。

 8月15日の祝典「聖母被昇天祭」は、日本ではお盆や終戦の日と被っている為、あまり知られていません。
 この祭りはカトリック教徒にとっては大事な祝祭で、聖母行列が行われ、多くの礼拝場所が開かれます。たくさんの巡礼者が礼拝堂に足を向け、マリアに祈りが捧げられます。キリスト教は一神教ですが、聖母マリアは地元の人に深く愛された慈悲深き救済者なのです。

 

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