聖ゲオルギウスは聖ジョージ、聖ジョルジュなどとも言われている聖人の一人です。古代ローマ末期の殉教者で、竜退治の話が多く語り継がれています。なんでもカッパドキアのラシア付近に狂暴な竜が住み着いてしまい、羊の生贄、果てには人間の生贄を要求するようになりました。とうとう王様の娘が生贄に選ばれてしまい、悲しんでいるとたまたま聖ゲオルギウスが通りかかり、「私が竜を殺して差し上げましょう。もし殺すことができたなら、キリスト教に帰依すると約束して欲しい」と言いました。王様はそれを了承し、聖ゲオルギウスは凶悪な竜を槍一本で倒してしまいました。こういった英雄伝が伝わり、画家たちは多くの作品を残しました。
では、竜の退治模様を見ていきましょう。
「ヴィットーレ・カルパッチョ作 1502年頃」
正統派ゲオルギウス。槍試合のように突進して竜を突き刺しています。
「パオロ・ウッチェロ作 1470年頃」
槍で頭を一突き!
囚われの姫様のはずが竜をペットにしているように見えるのは私だけだろうか。
「Jan van der Streat 作 1563年頃」
古代ローマらしいみなりで剣を振るゲオルギウス。下の死体が生々しいです。
「エドワード・バーン・ジョーンズ作 1868年」
竜が可愛らしいサイズ・・・。馬乗りになって顎をぐさっ!
「ラファエロ・サンティ作 1504年頃」
獲物を定めて一突き!馬の振り向き方がセクシーです。
「ロヒール・ヴァン・デル・ウェイデン作 1432年頃」
こちらも首筋をかっこよく串刺し!・・・馬の頭が小さくないですか?
「ギュスターヴ・モロー作 1889-1890年」
幻想画家モローの正統派の作品。長槍を心臓へ一突きです。
「カルロ・クリヴェッリ作 1470年頃」
イケメン聖ゲオルギウス。槍で刺してから首を両断っていう感じでしょうか。
→ カルロ・クリヴェッリの作品をもっと見たい方はこちら
「ティントレットの追随者作 16世紀」
赤いマントと銀の甲冑に身を包んだ聖ゲオルギウスは颯爽と現れ、
竜の口内ごと心臓を一突き。躍動感のある格好いい作品です。
画家によって様々なシチュエーションがありますが、聖ゲオルギウスの人気の高さがうかがえます。姫を殺そうとする邪悪な存在を葬る英雄というモチーフは、昔から好まれていたのだろうなぁと思います。
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