「イザヤ書」の著者であるイザヤは、紀元前8世紀頃に生きた預言者です。
彼はイスラエル王国に対する神の裁きと救済、メシアの到来などを預言し、信仰や罪の悔い改めを説きました。イザヤの死について確かなことは分かりませんが、初期キリスト教時代に執筆された書物「イザヤの殉教と昇天 」によると、彼はユダ王国の王マナセに捕まり、身体をのこぎりで二つに切られて殉教したとされています。この衝撃的な殉教の仕方は人々に強い印象を与えたのか、中世写本を中心に作品が残されています。中世時代の画風なので、エグくて恐ろしいことをやっていても、どこかシュールでちょっと変に見えてしまう作品ばかりです。
預言者イザヤの殉教の絵画、12点をご覧ください。以下、閲覧注意となります!
→ イザヤについてもう少し詳しく知りたい方はこちら
「16世紀の聖書の挿絵」
木に入れられ、今まさにのこぎりで切られようとしているイザヤ。
のこぎりは木を切るものだから、象徴として木に入れられたのでしょうか。
手前の白い衣服の男がマナセ王です。
「Bible historiale の挿絵 14世紀」
こちらのイザヤは胴体から切られていますね。
二名の部下が互いに押したり引いたりしています。当時ののこぎりは
二人で引くものだったんですね。
「中世写本 年代不明」
縦からごりごりされているイザヤさん。
この作品もイザヤを木として表現していますね。
「中世写本 1372年」
頭にもろに突き刺さってる感が痛そう・・・!
執行人はお揃いでぴちぴちの服とタイツを履いています。
「スイスの写本挿絵 14世紀」
ファンタジーチックで可愛いイラストなのに、この残酷さはいかに・・・!
すり減っている頭と、飛び散っている飛沫が恐ろしいです。
「中世写本 年代不明」
こ、これはどこから突っ込んでいいかが分かりません!
イザヤの切り口が斬新なのと、執行人の妙なポーズが気になって
仕方がありません・・・!
「中世写本 年代不明」
この作品は横からばっさり切られています。頭からも嫌だけど、
この切られ方も嫌すぎる・・・。
「Taymouth Hours の挿絵 14世紀」
そ、それは駄目だ!絶対に駄目だ!
「Petrus Comestor 作の写本挿絵 1100‐78年」
でも、このタイプの切られ方が一番多かったという事実。中世の人達の
思考の恐ろしさよ・・・。どうして素直に頭からいかないのですか。
「書籍挿絵 年代不明」
木に逆さまに磔にされ、あと少しで切られようとしているイザヤ・・・。
イザヤの恐怖は計り知れません。
「フランス リヨンの公立図書館蔵の写本挿絵 1462年」
いや、そんなポーズをされても駄目なものは駄目ですって!
右側の執行人の顔がドヤ顔すぎて、微妙にイラっと来ませんか・・・?
頭から、横から、そして下から・・・。
個人的には“のこぎりで切られて殉教”、と聞くと頭からか、胴体からかだと思っていました。下からなんて、思いもよりませんでした。それなのに下からが一番多いなんて(”Д”) これらの作品を見て、ルーマニアのワラキア公国の君主、ヴラド三世を思い出してしまいました。彼は串刺し公(ツェペシュ)と呼ばれ、周りから恐れらていました。ドラキュラ公とも呼ばれ、現代のドラキュラのモデルとなった人物です。処刑する際に斬首刑ではなく、鋭い杭で下からぐさー・・・と串刺しでさらし者にして、自らの権威を示していたそうです。
幸いにもイザヤの殉教作品はルネッサンス以降は全くなく、リアルな真っ二つはありませんでした。もしあったらこのブログはエライことになっていますよ。
暗黒時代の心の闇が、ひしひしと感じられる作品たちでした・・・(汗)
【 コメント 】
>> 美術を愛する人様へ
リアルで描かれたものを観るのは勿論恐ろしいですが、中世の作品がゆるーくても脳内補完してしまうから、充分に生々しくグロく感じますよね。
絞首やギロチンでも恐ろしい方法なのに、のこぎりを用いるなんて本当に考えられません。しかも下側からなんて…。
これが現実ではなく伝説である事を祈るばかりです…。
(ふざけた文章を書いてしまい、イザヤさんすみません。怒らないでください(>_<;))
グ、グロい…!
絵が中世特有のゆるーい感じなのに血が生々しくて見ているだけで「あいたたた…」となってしまいます。
横に切る派と縦に切る派があるんですね、本当に人間にこんなことできるんでしょうか、事実なら尚更にしんどい…(ノ_<)ムゴィ