「ヒエロニムス・ボスの世界」書籍の概要と感想!絵画のドアップがみられる素敵な本 | メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

「ヒエロニムス・ボスの世界」書籍の概要と感想!絵画のドアップがみられる素敵な本

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 2019年12月に発売された書籍「ヒエロニムス・ボスの世界 ‐大まじめな風景のおかしな楽園へようこそ‐」を読んでみました!
 この書籍はブリュッへ美術館館長であるティル=ホルガ―・ボルヒェルトさんが、ボス没年の500年記念である2016年に書き上げた本であり、翻訳されて日本で発売されたものとなります。主に「ボス作品の一部分をアップしてじっくりとみてみよう!」というコンセプトであり、超ドアップな背景や人物、怪物たちを見ることができました。
 書籍の概要と感想をお伝えしたいと思います!

 

書籍のサイズとボリューム

 書籍のサイズは縦22.5cm×横17.5cm。画集としては小さめだけれど、専門書などよりも大きめという印象。厚さは約2.4cm。318ページという大容量。読んでいるとけっこう二の腕にずっしりと来ました。図版はすべてカラーで構成されています。

 

目次

 中身としては「ヒエロニムス・ボスの略歴」、「作品19点の紹介と概要」、「作品のテーマ別によるアップの図」の流れでした。やはりボス研究が進んだ年に書かれただけあり、彼の家族構成や工房や追随者作品の区別など詳しく記載されていました。

作品の紹介と詳細ページ

 作品紹介ページはこのような感じ。1ページ、または2ページに渡って図版と文章で説明がなされています。

 書籍の約9割近くがアップを紹介するコーナーになります。作者さんがピックアップした部分と共に、作品の状況説明、ボスの筆致の巧みさや、作品を描くにあたって影響を受けた歴史的背景などが語られています。

 2016年はボス研究と共に作品の修復が成された年でもあるので、作品がとにかく綺麗!「保存状態が悪い」と書かれてあっても、私が知っている作品よりも綺麗に見えました。私は2000年以前のボスの画集を所有しているのですが、比べてみるとやはり違いますね・・・。写真技術が発達したというのも加味しても、絵が鮮やかになっています。

 上に載せた作品(青いバグパイプに赤い天幕のもの)は、ボス工房作の「最後の審判」の部分なのですが、色が鮮やかで境目がはっきりしており、「こんなところにこんなものが描かれていたんだ!」と再発見した部分もありました。「愚者の船」の愚者や、「快楽の園」の耳もドアップで美しすぎる!

 ボス工房、または追随者作の「最後の審判」の断片も、数年前にはじめて画集を見た時は「これどうなってるんだ?」と思えるほど怪物の色がかすれ、かっさかさだったのですが、この書籍だと修復&クローズアップという効果で、怪物一体一体の動き、色彩が鮮明に分かりました。

 背景やグリザイユ部分のドアップもあり、下地の具合が分かるほどでした。遠目では精緻に見えるところも、近場でみるとベラスケスのように「ささっ」と手早く描いてある部分もあり、ボスの技術力の高さを再認識いたしました。
 やはりボス師匠は神!!ですね(/ω\)

 あとがきはこのような感じになります。著者の方だけではなく、翻訳者の方もなかなかの権威。
 すっかり作品に見惚れてしまい、ボリュームを忘れて読み通してしまいました!内容の方も勉強になりました。興味のある方は、ぜひ「ヒエロニムス・ボスの世界 大まじめな風景のおかしな楽園へようこそ」を読んでみてください♪^^

 

おまけ

 去年我が家にやってきた、「快楽の園」に登場する鎧をまとった鳥さんとナイフ耳さんのフィギュア。
 フィギュアが欲しくて色々とネットを漁った結果、お二人を入手することができました。(新品は高いですからね…^^;)
 これからも徐々に増やしていきたいと思います。目指せ、我が家でボスワールド!

 

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