旧約聖書のソドムとゴモラの絵画13点。ロトの家族は天罰で滅びゆく都市を脱出する | メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

旧約聖書のソドムとゴモラの絵画13点。ロトの家族は天罰で滅びゆく都市を脱出する

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 ソドムとゴモラは旧約聖書に登場する、天罰を受けて滅亡してしまった都市です。
 この二つの都市は堕落しきっていた為に、神は滅ぼすことに決めました。預言者アブラハムは救済を願い出たので、神は「なら、正しき者は救おう」と二人の御使いを送り出します。すると、都市に住むアブラハムの甥、ロトの元に二人の客人が現れます。ロトは快く彼等を家へ招き入れてもてなしました。しかし、よそ者を嫌う都市の者達が現れ、「二人をつまみ出せ!」とロトを脅します。彼は娘達を差し出そうとしてまで客人を守ろうとしたので、御使いは正体を明かし、ならず者たちを盲目にさせました。そして「神は都市を滅ぼすつもりだから、お逃げなさい」とロト達を促し、避難をさせました。その時に「決して振り返ってはならない」と警告を受けていたのにも関わらず、ロトの妻は背後を振り返ったので、塩の柱に変えられてしまいました。ロト達は悲しみに暮れながらも洞窟へ隠れ、助かります。こうしてソドムとゴモラの都市は硫黄と炎に包まれ、天罰によって滅亡してしまいました。
 脱出をするロト達と、滅びゆく都市の絵画13点をご覧ください。

 

「シャルル=アンドレ=ヴァン=ルー作  18世紀」
よそ者に暴力を振るおうとした者達は、正体を現した天使によって
目潰しをされてしまいます。都市にはロト達以外救済する者がいない
と判断した天使らは、ロトに早く避難するよう告げます。

「ピーテル・パウル・ルーベンス作  17世紀」
ロトとその妻、二人の娘は半信半疑でしたが、最低限の荷物を持って
天使達に連れられて退避することにしました。なんだか天使さん二人と
一番後ろの娘さんが楽しそうです。

「ピーテル・パウル・ルーベンス作  17世紀」
こちらもルーベンス作。ロト達は神妙な表情をしていますが、
真ん中の天使がなんだか楽しそう。ちょっとピクニック気分ですかね(笑)

「ニュルンベルク年代記の挿絵  1493年頃」
「振り返ってはならない」とアドバイスされれば、人間やりたくなるもの。
ロトの妻は思わず振り返ってしまい、神の罰によって塩の柱に変えられて
しまいます。塩の柱と化しても笑顔でほんのりシュール。

「Golden Haggadah の挿絵  1320年頃」
こちらは中世時代でも鬼気迫る作品。都市は破壊し尽くされ、人々の
屍が転がっています。ロトは娘を守るように進み、妻が滅亡の象徴の
ように中央にたたずんでいます。

「ベンジャミン・ウエスト作  1810年」
妻が振り返ってしまったのは、興味本位という訳ではなく、故郷が
名残惜しかったからだとされています。悪徳の都市ソドムとゴモラに
愛着を持ったから塩の柱になってしまったそうなのですが・・・。
住み慣れた家なら名残惜しくなりますよね。

「アルブレヒト・デューラー作  1496-99年」
妻の不幸を悲しみながらも、ロト達は前へ進み続けます。
背後では都市が黒い煙を上げて炎上しており、妻は遠くで立っています。

「ルーカス・ファン・デル・レイデン作  1520年頃」
都市の外まで天使たちが送ってくれている絵と、いなくなった絵の
二種類がありますね。御使いの行方は聖書では語られていないので、
いつ天へ帰っていったんでしょうかね。

「ジョン・マーティン作   1852年」
赤い炎と黒い煙がうねりを見せる、迫力ある美しい絵画。
神の激しい天罰の様子がありありと感じられます。炎と硫黄によって
滅んだという事は、火山がモチーフになっているのでしょうか。

「ヨアヒム・パティニール作  1520年」
北方ルネサンスの風景画の先駆者と言われている画家。
彼は聖書の物語より風景を描きたかったそうで、人物が非常に小さく
描かれています。よーく見ると、真ん中に白い点が。奥さんです。

「アルテミジア・ジェンティレスキ作  1640年」
洞窟に避難したロト達は一息つき、移住しました。しかし、このままでは
血筋が絶えてしまうと判断した娘たちは、父を酒で酔わせて寝かせ、
あらぬことをしてしまいます。

「ルーカス・ファン・デル・レイデン作  1520年頃」
背後と手前で異時同図法になっています。
なんかロトが積極的ですが、史実では違いますよ。娘たちはそれぞれ
男の子を産み、彼等はモアブ人とアンモン人の始祖となりました。


「ルーカス・クラーナハ作  1472‐1553年」
すっごい不満顔のおじいちゃんロトと、すっごい笑顔の娘たち。
「ぶどう酒を飲んでね・・・」と妖艶なオーラを醸し出しています。

 神は風紀的な乱れと悪行でソドムとゴモラを滅亡させたのに、ロトたちはそれでいいのか!?と思ってしまいますが、どうやらロト達が助かったのは節操の為ではないようです。叔父アブラハムのとりなしもありますし、「いかに神を敬っているか」かが大切だったようです。天使が客人として現れた時、ロトは寛大な心で歓待し、彼等を守ろうとしています。(娘たちはスケープゴートにされそうでしたが・・・) 神にとっては節操力よりも、やはり正しい信仰が最も大事なのですね。旧約聖書の神らしいです・・・。

 

【 コメント 】

  1. 管理人:扉園 より:

     >> 季節風様へ
    こんばんは^^
    都市破滅系の物語は色々ありますが、ソドムとゴモラは代表格と言える感じですよね。
    そう言われてみれば、手荷物を持つ作品がありますね。
    準備の間待ってくれていた神は結構慈悲深いかも…。
    ロト達は逃げ延びた後、ゾアルという小さな町の近くの洞窟で暮らしたとされています。
    お酒や果物はそこで調達した可能性がありますが、天使様のプレゼントも混じっているかもしれませんね^^

  2. 季節風 より:

    悪徳の街を神に滅ぼされる恐ろしい光景は戒めになります。都市が崩壊するのを天使が教えてくれて逃げるのを助けてくれるなんて幸運です。ロト一家は謙虚なので手荷物も少ないのかと思いきや、最期の方では洒落たテントやお酒や果物がけっこうあるのが気になりますが天使様からのご褒美かも。

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