サーカスの絵画15点。アクロバティックな技で観客を楽しませる曲芸師たちの姿 | メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

サーカスの絵画15点。アクロバティックな技で観客を楽しませる曲芸師たちの姿

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 様々な芸や技で観客を魅力し、楽しませる見世物サーカス。
 古代ギリシャやエジプトでは、ジャグリングなどをパフォーマンスする曲芸師がいました。そして、古代ローマの円形競技場で曲芸が催されるようになり、円形を意味する「circle」がサーカスの語源となったようです。(諸説あり)  現代のようなサーカスの形となったのが1770年のイギリスで開催された、「アストリー・ローヤル演芸劇場」とされています。退役軍人のフィリップ・アストリー(1742-1814年)という者が動物芸、曲芸に加え、道化師という概念を新しく取り入れ、白塗りの顔にぶかぶかの服という道化の姿がサーカスには欠かせない要素の一つとなったのです。
 サーカスに関する絵画はやはり18世紀後半~19世紀後半あたりが多く、画家達にとって生まれ変わったサーカスは目新しいものに映ったのだなぁと思います。
 ではサーカスについての絵画15点をご覧ください。

 

「アンドレア・ディ・レオン作  1640年」
当時、象を連れたこのような見世物が競技場で行われていたの
でしょうかね。もしくは、17世紀の人が想像で描いたローマの
円形競技場の見世物風景。ターバンを巻いた異国風のおじさん達が
象に乗り、パフォーマンスを行っていますね。

「アントワーヌ・ヴァトー作  1684-1721年」
サーカスの道化師と言ったらヴァトーの作品が有名ですね。
彼はこの白装束の道化の主題を繰り返し描いています。
ヴァトーはサーカスと道化が結び付けられる以前にこのテーマを
描いているのだから、先見の才があったのかもしれません。

「ピエトロ・ロンギ作  1762年」
当時のサーカスはこのような感じに上演されていたようです。
木製のステージに人々が囲み、隅には演奏者がいるみたいですね。
観客が仮面を被っているので、仮面舞踏会の余興といった感じ
なのかもしれません。ライオンがカメラ目線イケメン・・・w

「エミール・バヤール作  1837-91年」
野外で行われている小型のサーカスを見学する人々。
当時、屋内の大規模なサーカスだけではなく、こじんまりとした曲芸も
勿論おこなわれていました。かなりのお客さんが集まっているので、
どんな凄い芸をやっていたのでしょうかね。

「Ludwig Knaus 作 1880年」
サーカスの舞台裏。表で綱渡りを一生懸命している人がいる割には、
かなりリラックスしていますね(笑)犬と遊んだり喋っているようです。
ど真ん中のピエロさんはよく見ると哺乳瓶で赤ちゃんにお乳をやって
おり、「勘弁してくれよ」みたいな表情を浮かべています。

「作者不詳  19世紀」
世界を渡り歩いて見世物を行う三人のパフォーマンサー。
楽しく芸を行う存在である彼等ですが、険しい表情をしており、
波乱万丈な人生を歩んできたように思います。
小説やゲームの表紙にありそうな感じですね。

「Fyodor Bronnikov 作  1859年」
こちらはサーカス団員の生活と練習風景を描いた作品。
ごろごろしていたり、真面目に頑張っていたり、縫い物をしていたりと
なかなかフリーダムなんですね。

「Joseph Becker 作  1841-1910年」
夜のサーカスと題された作品。これは演劇が終わり、パトロン達と
反省会(?)を行っている最中なのでしょうかね。手前のおじさんは
鏡を見てヒゲをチェックしているのかしら・・・?

「エミール・フリアン作  1881年」
広大な円形の中で催されているサーカス。現代のサーカスと
セットが似てきましたね。象さんが二頭と、固まって転がっている団員達。
何かよく分かりませんが面白そう。さりげに白い道化が黒い服の人
蹴ってるし・・・。どんなシーンw

「アルトゥーロ・ミチェレーナ作  1891年」
もうすぐ本番で準備中。ルネサンス時代の宮廷より発祥したバレエ
ですが、当時、バレリーナの地位はあまり高くなかったようです。
この画家はイタリア人ですが、バレエはサーカスの演目の一つと
なってしまっているようですね。

「Ottokar Walter 作 1889年」
こちらも本番直前の舞台裏。ここにもバレリーナの少女がおりますね。
画家はオーストリア出身なので、19世紀にはバレエのサーカス出場が
普遍化していたのでしょうかね。
(旅行で描いたという可能性もありますが・・・)

「エドガー・ドガ作 1897年」
バレリーナの絵画で有名なドガは、こんなサーカスの作品も残して
おります。命綱を付けず、口で身体を支えて空中浮遊・・・。
って、滅茶苦茶危ないんですけど!下にはネットがあるのかな。ドキドキ。

「ジョージ・ベロウズ作  1912年」
白馬に乗って舞台を闊歩する女性。よーく見ると、彼女の両足は
足首から先がないように見えます。障害を持った方もサーカスに
出演し、様々な芸を行っておりました。

「オーギュスト・ルノワール作  1878年」
パリのサーカスの団長フェルナンド・ワルテンベルクの娘フランチェスカと
アンジェリーナの姿を描いた作品。観客が投げ入れたらしきオレンジを
沢山抱えていますね。現代のアイススケートと同じように、サーカスが
終わると団員の好きな物が飛んできたりするのでしょうか。

「ウォルト・クーン作  1877-1949年」
美少女から一転、かなりドスの効いたサーカスのお兄さん。
ムキムキさとチョッキの象柄を見ると、動物使いなのでしょうか。
お仕事の誇りの現れなのか、険しいお顔と黒々しい背景。
顔の白さと相まって、恐ろしい雰囲気を醸し出しております・・・。

 サーカスについて調べていたら、「サーカス団員あるある61」という面白い記事を見つけました。
 11年間サーカス団員をやっていた筆者が感じた、悩みや喜び、武勇伝や面白話などの「61個のあるある」を赤裸々に語ってくださっています。確かにサーカスという仕事は少し特殊で、謎に包まれた部分も少なからずあります。筆者が言う事には、「さらわれたり買われたりした子供に芸を覚えさせる」という暗いイメージが未だにあるそうです。この記事を読むと、団員たちの誰もが仕事に誇りを持っており、仲間を大切にしているのだなぁという事が伝わります。
 サーカスの歴史を見てみると、後ろ暗い物語もあります。しかし、どの時代のサーカス団員も「もっと切磋琢磨して、お客様を楽しませたい」という誇りを胸に、仲間と共に仕事に励んでいたのではないでしょうか。

→ サーカス団員あるある61の記事はこちら<ロケットニュース24様>
→ 道化師についての絵画を見たい方はこちら

 

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【 コメント 】

  1. 管理人:扉園 より:

     >> お待ちしてました^^様へ
    こんばんは^^
    彼女は「大砲女」と呼ばれていて、歯だけで体重を支えて天井へ吊り上げられるという
    演技を得意としていたとは。←今調べましたw
    当時は普通に見世物としてやっていても、現代だったら危なすぎて絶対にできない事ですよね;
    シュザンヌ・ヴァラドンってサーカスをやっていたんですか!
    モデルか画家だと思っていました。がっつりwikiに描いてありましたね^^;
    負傷でサーカスを引退してしまうなんて悲しいですね…。

  2. お待ちしてました^^ より:

    来ると思ってました、ドガのルル嬢^_^
    ドアップで見られて満足です。
    ルノワールで思い出しましたが、
    彼の描いたダンスの絵のモデルのシュザンヌ・ヴァラドン(ユトリロの母)は、もともとサーカスをやっていたらしいです……って、たぶん扉園さんも同じ本読んでますね^^;

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