ネズミの絵画11点。家を縦横無尽に走りまわり、死のペストを運ぶ陰の脅威者 | メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

ネズミの絵画11点。家を縦横無尽に走りまわり、死のペストを運ぶ陰の脅威者

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 家に穴を開け屋根裏を走りまわり、穀物を食い荒らしてフンを落とす。現代でも害獣とされ、駆除の対象になってしまうネズミ。
 中世、近世のヨーロッパにおいてもネズミは忌み嫌われる存在で、不吉や死、病気の象徴として恐れられ、駆除されていました。ですが、衛生管理が良くなかった為、次々と数を増やしたネズミは家庭に当たり前のように住み着いていました。また、15世紀にネズミを獲物としていた猫が、宗教上の理由で駆除され数を減らしたことも、ネズミの増加に拍車をかけました。18世紀頃になるまで、ネズミは人々の恐怖であり続けたのです。

 中世、近世ヨーロッパを覆った病原菌ペスト(黒死病)の原因は、ネズミについた蚤とされています。ペスト菌を持つ蚤をネズミが連れて歩き、蚤が人間に吸血して感染させていったのです。ペスト蔓延の直接的な存在ではありませんが、ネズミは暗黒時代に陥れた立役者とも言えるでしょう。そんなネズミにまつわる作品を、画家の何名かが様々な視点で描いています。
 では、ネズミにまつわる絵画11点をご覧ください。

 

「イギリス出身の画家作 19世紀」
タマネギの上に乗っかる二匹のネズミ。犬や猫はたまねぎを
食べると中毒になりますが、ネズミはならないそう!
ですが、たまねぎやニンニクなどのものは匂いがきついので、
あまり食べたがらないみたいです。ネズミ強し。

「ゲオルク・フレーゲルの追随者作
不思議なお野菜に囲まれ、食べ物をはむはむしているネズミ。
うしろ、うしろ!

「ジョージ・スミス作 1713–76年」
ぐわしっ!とネズミを踏みつけている、猫さん。
卵をひっくり返して割りつつも、見事仕留めました。
カメラ目線でどこか誇らしげですね。

「Johann Amandus Winck 作 18世紀」
 果物をもぐもぐと食べるネズミ。しっぽが白くて可愛いですね。
この画家さんはネズミへの「嫌われ者」という負のイメージが
感じられませんね。

「ドミニクス・ファン・トル作 1664-5年」
ネズミの罠を持って、はいポーズの少年。
当時は冷蔵庫がない為、干し肉や飲み物は地下などで保存されて
いました。ネズミさんがいっぱい狙っていたでしょうね…。

「Giacomo Francesco Cipper 作 1664-1736年」
ネズミ捕り器を使い、捕獲に成功してご満悦な男性。
なんだかネズミが空中浮遊して見えますw
猫さんが狙っていますね。これからご飯になるのかしら…。

「オランダ出身の画家作 18世紀」
はまってますよ!現実から目を背けていますが、あなたの指、
罠に見事にはまってますよ!

「ルイ=レオポルド・ボワイー作 1761-1845年」
「ほら~部屋にネズミがいたぞ~ほらほら」
「うわーん!恐いよ~!」「やめて。早く捨ててきなさい」
「じゅるり…うまそう (猫)」ってな感じですかねw

「フェルディナンド・デ・ブラーケレール作 
部屋にネズミが出現し、三人がかりで全力で退治中。
とっちらかってますね^^;晴れて退治できた時には、
部屋中のものが壊れてそうです…w

「ジョン・エヴァレット・ミレー作  1851年」
美女が煌めくステンドグラスの前で腰を伸ばしています。
一見、とても美しい作品ですが…右下にはネズミが!
こんな絢爛な部屋にも出ちゃうのです。

「フランス・スナイデルス作 1579-1657年」
こちらはアイソーポスの「ねずみの恩返し」という寓話の作品。
ライオンに見逃してもらったネズミが、ライオンのピンチを
救うという物語です。ネズミどこだ!?と思ったら、左下の
幹の黒い部分がネズミでした!見辛い…^^;

 中世~近代のヨーロッパの生活において、ネズミは密接に結びついており、切っても切れない関係です。そんな死と疫病の象徴であるネズミを表した、2019年発売のゲームがあります。
 その名も「A Plague Tale: Innocence (プレイグ テイル イノセンス)」。14世紀のフランスが舞台で、戦争と疫病がはびこる土地で、姉弟が生き延びながら真相に迫っていくという物語です。

いつの時代でも「平和」は長く続かないものだ。
フランス王国の大地が突如揺れ始め、小さな村の静寂を破る。
門前に現れる軍隊。城壁の内側ではびこる病。防ぎきれない疫病。
学者たちは古文書や聖書を読み漁り、必死に答えを探す。
だが、そう簡単なことではない。この疫病の原因は不明なままだ。
鋭い歯、光る眼、ねじれた尾…。
ネズミの大群の脅威は容赦なく、飢えと寒さしか感じられない。
その渦中にはユーゴとアミシア。
遺児になった姉弟には戦う道しかない――。

「A Plague Tale: Innocence」サイトより引用

 こんな感じです。画像は公式サイトさんからお借りしました。リンクは以下に掲載します。ネズミがうっぞうぞと出てきて、正直言うと気持ち悪いです^^;集合体恐怖症(トライポフォビア)の人は、ちょっときついかもしれません…。

 私はプレイがヘタクソなので、ゲーム実況の方を通して見ましたが、とても面白かったです!うっぞうぞのネズミの気持ち悪さを補って余りある面白さでした。ネズミをけしかけて敵を倒したり、火でネズミを追い払ったり、薬品を調合して使ったりとアクション性があり頭脳も使うので、やりがいがあります。ストーリーも奥深いですし、グラフィックも綺麗&恐怖でヨーロッパの暗黒面が前面に感じられます。姉弟のやりとりも切なくもどかしく、二人を応援したくなりました!

 こちらのゲームはPS4やXBOX、steamなどで購入できます。気になった方はぜひ、見てみてくださいな~。暴力やグロテスクなシーンが含まれますので、18歳未満の方は閲覧をご遠慮ください。

 そしてなんと!!
 続編である「A Plague Tale:Requiem (プレイグ テイル レクイエム)」が10月18日に発売なのだそう!もうすぐじゃーん!と思いきや。それは現地時間であり、日本での発売はまだ未定であるそう…。残念。
 また発売されたら、ぜひやってみたいですね^^それまでにゲーム上達しなきゃ…w

→ 「プレイグ テイル イノセンス」のサイトはこちら

 

【 コメント 】

  1. 管理人:扉園 より:

     >> 美術を愛する人様へ
    猫の受難はイスラム教への反発も関係していそうです。
    黒は古代より不吉な色とされ、黒猫さんは昔から大変ですよね…。
    人間の勝手な理由で罪のない存在を犠牲にするなんて、迫害者は天罰が下っても仕方ない感じがしますね。猫さんは神であった…!!?

  2. 美術を愛する人 より:

    猫が悪魔の使いとされたのは、猫を大事にしたイスラム教に対する反発でしょうか?
    いずれにせよ猫を大事にしないと人類に天罰が下るのは猫が神(ネコ≒神)だからでしょう。

  3. 管理人:扉園 より:

     >> 美術を愛する人様へ
    こんばんは^^
    ペスト続きにしちゃいました!
    絵画や映像で見るならまだしも、実際に家に蚤やネズミが出たら大騒ぎですよね^^;
    昔、母屋でネズミが屋根裏部屋を走りまわっていて、ネズミぺったんを使って戦っていましたw
    ネズミ除けの音が鳴る機械を置いたら、ぴたっと来なくなりました。文明の力って凄いです…。
    時代や地域によっても、猫への待遇が随分と違いますよね。
    絵画の猫ちゃんは生き生きしていて可愛いです^^
    猫ちゃんの絵画がいっぱいありましたら、また掲載しますね!
    ですです。ハーメルンの笛吹き男もネズミが登場します。
    男が笛を吹いたら全てのネズミが川へぽちゃん…。
    まさか、ネズミ除けの機械が誕生する前身の伝承…!??(ぇっ
    いえいえ、こちらこそありがとうございます!
    楽しんでいただけて私も嬉しい限りです^^
    本当ですよね。コロナ禍の前は東京などの美術館へ行ったものですが、最近はまったく行けていません。行きたいなぁ…。
    あまり馴染みのない、様々な絵画を観て楽しんでくれたら作者冥利につきます!
    昔の記事ですが、よければこちらも合わせて^^
    中世ルネサンスのシュールな猫さんの絵画
    https://mementmori-art.com/archives/18857853.html
    ハーメルンの笛吹き男の絵画
    https://mementmori-art.com/archives/17042366.html

  4. 美術を愛する人 より:

    前回の蚤の絵画に続いてネズミ…
    どちらもペストに関連する生き物ですね!
    どちらも絵画で観るなら平気なんですが、実物はちょっと…勘弁したいです💧
    ペストが流行していた頃、ネズミ対策で猫を飼っていたり、野良猫が街に多くいたと言う話を聞いたことがあります。
    いつか猫もテーマにしてほしいです(ФωФ)✨
    あと、ハーメルンの笛吹男も連想してしまいました。
    あちらもネズミが切っ掛け?だったような…
    一つのテーマから色々と想像が膨らんで楽しいです☺️
    お忙しい中、様々なテーマの絵画を紹介してくださって、本当にありがとうございます❗️
    なかなか美術館へ行く機会がないので、たくさんの絵画や彫刻を観る事ができてとても嬉しいです☺️
    これからも応援しています❗️

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