つけぼくろの絵画13点。小さい一つじゃ足りない。ほくろだらけの近世のお化粧 | メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

つけぼくろの絵画13点。小さい一つじゃ足りない。ほくろだらけの近世のお化粧

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Portrait of Mademoiselle Guimard ballerina Frederic 18th -

 泣きほくろや口元のほくろはどこかセクシーに感じられ、あったらいいなぁと思う人もいるのではないでしょうか。ただそれはワンポイントで、いっぱいはいらない人が殆どのはず。
 16世紀~18世紀末のイギリスやフランスなどのヨーロッパの上流階級で、「パッチ化粧(つけぼくろ)」というものが流行りました。それは顔にウールや絹、ビロードで作られたほくろをいくつも貼るというもの。ほくろだけではなく、星や月のマークなどなんでもありです。ほくろというよりも、フェイスペイントに近いものかもしれません。もともとは軟膏やおできなどの痕を隠す為に使用されていましたが、「白い肌が目立つ為の手段」というお洒落の一つとなったそうです。老若男女とわず人気となり、なんと聖職者も流行に乗っちゃった人がいたとか。
 では、つけぼくろに関する絵画13点をご覧ください。



「フランソワ・ブーシェ作  1769年」
お化粧中の女性。白粉とチークを塗り、いざつけぼくろ。
目元に貼り、更にどこかへ貼ろうとしています。
一体何か所につけてしまうつもりでしょうか・・・。
François Boucher 1769

「ヘンリー・ロバート・モアランド作 1769年」
仮面にいっぱいつけぼくろがあります。
仮面の方に装飾があるのは、納得できますね。
1769 Henry Robert Morland Fair Nun Unmasked Orig Portrait

「イグナシオ・マリア・バレーダ作  1794年」
Doña Juana María Romero 婦人の肖像。こめかみに
大きなほくろが。ちょっと大きすぎではないでしょうか・・・。
Ignacio María Barreda, Portrait of Doña Juana María Romero 1794

「Juan Patricio Morlete Ruiz 作 1770年」
María Ana Gertrudis Cabrera y Solano さんの肖像。
こちらもこめかみに大きなほくろが貼られています。
目元を大きく見せる狙いがあったのかしら・・・?
それにしても目立ちますね^^; 
Juan Patricio Morlete Ruiz  Ana Gertrudis Cabrera y Solano 1770

「Juan Patricio Morlete Ruiz 作 1762年」
Doña María Tomasa Durán López de Cárdenas 婦人の肖像。
ご年配の婦人もつけぼくろのお洒落です。この作品は同画家が
上記の作品より7年前に描いたものなので、女性のお母様なの
かもしれません。顔がよく似ています。
 Juan Patricio Morlete Ruiz Portrait of Doña María  1762

「ホセ・デ・イバラの追随者作  1730年」
スペイン人の少女とムーア人の女性と思われる作品。
少女の目元にはつけぼくろが。この年齢でも流行っていたのですね。
Attributed José de Ibarra  Spaniard and Mulatta Morisca 1730

「作者不詳 1650年」
色々つけすぎだって!
色や形、なんでもありなほくろになっています。
Anonymous Double portrait of two women with face patches 1650

「1902年の挿絵の書籍より」
6個ものほくろを付けたご婦人。白い肌を際立たせる
手段だと認識していても、私達の美意識とは違うので
ちょっと違和感を覚えてしまいます・・・。
Les mouches sousLouisXIV

「作者不詳 書籍の挿絵? 17世紀」
額に馬車が走っているんですが・・・!
BEAUTY SPOTS 17th  is a photograph

「ミゲル・カブレラ作 1760年」
Dona Maria de la Luz Padilla y Carvantes(1732-89)さんの肖像。
目元に三つのほくろが。目元が気になるご年齢となり、
フェイスアップ効果としてほくろが使われたのかもしれません。
Miguel Cabrera de la Luz Padilla y Gómez de Cervantes 1760

「作者不詳  1750年」
ポーランド王妃マリー・カジミール・ド・ラ・グランジュ・
ダルキアンさんと思われる(?)肖像画。王妃様もほくろの
流行に乗っています。四か所にほくろが。鼻の下はちょっと
いかがなものでしょうか・・・。←失礼
Portrait of Marie Casimire of Poland, 1750

「ピエトロ・ロンギ作 1701-85年」
目立つドットの横に細かいドットを置いて、流星の煌めきの
ような形を表現していますね。
これはお洒落に見えてきました・・・!
Portrait of Mademoiselle Guimard ballerina Frederic 18th

「ジョン・ブルワーの本 Anthropometamorphosis の挿絵より1653年」
男女色々な仮装を取り上げた本。女性のみならず男性がほくろを
付けていたことが分かりますね。不思議な仮面もネイティブ
アメリカン風仮装も、謎の耳も、色々とつっこみたい
お顔ばかりです・・・!
spread John Bulwer’s 1653 book Anthropometamorphosis

 現代のお化粧品で「つけぼくろ」を調べてみると、やはりワンポイントのものばかりですね。日本ですと、アイライン用のような細筆でちょんっとほくろを付けるようなもの。外国ですと、そばかすや小さなおできをワンポイントで貼る、というものもありました。
 近世の派手なパッチお化粧は絶滅してしまったのか!?と思ったら、スイスのショップで似たようなものがありました!

beaty mark

beauty spot

 画像はスイスのショップ「Mily」様からお借りし、リンクは下記にあります。モデルはエキゾチックなアフロのお姉さんとなりますが、形は古典的なパッチ化粧品ですね。モデルさんだからか、あれだけいっぱい貼っていてもそこまで違和感がありません。料金は14.9ユーロ。日本円にして2000円近くなります…。ちょ、ちょっとお値段張りますね。
 日常暮らしでこれを貼っていたら悪目立ち間違いなしですが、パーティやハロウィンなどのイベント時ならフェイスペインととしておしゃれに感じられそうです。皆様も、パッチ化粧で近世ヨーロッパの雰囲気を味わってみてはいかがでしょうか^^

→ つけぼくろを売るスイスのショップ様を見たい方はこちら<別リンク>


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