カインとアベルの絵画10点。何故お前だけ。嫉妬と羨望が渦巻く、人類初の兄弟殺し | メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

カインとアベルの絵画10点。何故お前だけ。嫉妬と羨望が渦巻く、人類初の兄弟殺し

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 カインとアベルは旧約聖書「創世記」に登場する兄弟です。人類最初の男女アダムとイヴの息子たちで、彼等は人類初の殺人者と被害者になってしまいました。
 カインは農耕を行い、アベルは放牧をして三男のセトと共に暮らしていました。ある日、兄は収穫した作物を、弟は肥えた子羊を神へ捧げました。しかし、神はアベルの捧げた子羊のみを受け取り、カインの捧げものには目もくれませんでした。強い嫉妬と羨望にかられた兄は弟を野原へ誘い出し、殺してしまいます。殺されたアベルの血が大地へ染み出して事件が発覚し、カインはエデンの東にあるノドの地へ追放されてしまいました。
 世界初の殺人事件を、多くの画家は劇的に描き出しています。早速10点の作品を見ていきましょう。

 

「ガエターノ・ガンドルフィ作 17世紀」
家畜の下顎の骨で弟を殴ろうとしているカイン。
アベルは信じられないかのように見上げています。

「ミシェル・コクシー作 16世紀」
アベルが亡くなった後の情景。神がカインを追放しようとしています。
凶器の骨で大切な部分を隠すのはどうかと思うのですが・・・。

「ティツィアーノ・ヴェチェッリオ作 16世紀」
弟を足蹴にして攻撃する気満々のカイン。
次の瞬間アベルの頭に棍棒が振り下ろされているでしょう。

「ティツィアーノ・ヴェリッチオ作 16世紀」
ティツィアーノ第二弾。躍動感が凄いですね。
右側には子羊の死体が横たわっています。

「バルトロメオ・マンフレディ作 17世紀」
追い詰めて殴打しようとするカイン。
アベルの表情が「やめて」と悲痛に訴えています。

「ルカス・ファン・レイデン作 16世紀」
急所を蹴って反撃に出ようとしたアベル。
カインのううっという表情が何とも言えません。

「ダニエレ・クレスピ作 17世紀」
やめて、兄さん・・・。うるさい!お前がいけないんだ!
といった感じの作品。だいぶおじさんのお二人ですね。

「パオロ・ギドッティ作 17世紀」
劇的な感じではなく、何故かセクシーポーズの弟。
カインも細かく武器を振っています。右脇に添えられたお野菜も
ちょっとシュールに見えます。

「Santiago Rebull 作  19世紀」
頭から血を流して絶命するアベルに逃走するカイン。その後、神に
アベルの行方を問いかけられた彼は「知りません」とシラを切りますが、
大地に流れた血は殺人を訴えました。

「ピエトロ・ノベッリ作 17世紀」
神は怒りを示し、カインをエデンの園から追放しました。
しかし、カインを殺す者に対して七倍の復讐を与え、誰にも殺させない
とする刻印を彼に付けたとされています。

 誰でも他の者と比べられたら不快に思ったり、嫉妬を感じたりします。それが兄弟だったらなおさらです。可愛さ余って憎さ百倍ではないですが、最も近しい者だからこそ嫉妬が蓄積し、爆発してしまうのではないでしょうか。ドラマや小説でも頻繁に扱われるテーマですし、現実においても同じようなことが多々起こっているような気がします。カインとアベルは兄弟の軋轢の永遠のテーマのように思えます。

 

【 コメント 】

  1. 管理人:扉園 より:

     >> 季節風様へ
    こんばんは^^
    カインの動機は「神に構ってもらえず嫉妬に狂った」なので、神も少しは責任を感じたから刻印をしたのかもしれませんね。
    もしくは三男のセトが「よくもアベル兄さんを!仇だ!」と新たな殺人事件を起こさないようにしたとか、更にもしかしたら神が「大罪を背負って苦しんで生き続けるがいい」と、死よりも残酷な生を歩ませようとしたとか…?
    いずれにせよ波乱な展開の予感がしますね^^;

  2. 季節風 より:

    どの絵もアベルの方が華奢です。不意打ちをやったカインに対して怒りがわきます。「知りません」と神に偽証。
    なぜか神はカインを守る為の刻印を付けたんですね。

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