お野菜と果物を集めて作ったおじさん。この絵画を見たことが一度はあるのではないでしょうか。
ジュゼッペ・アルチンボルド(1527-1593年)はイタリアのミラノに生まれ、初期はステンドグラスのデザインをしていたそうです。1562年にウィーンにてフェルディナント一世の宮廷画家となり、1593年で引退するまで王家に仕えました。アルチンボルドが物を集めて人物の顔に見せるという、だまし絵の肖像画を描いたところ、フェルディナント一世の息子マクシミリアン2世に大うけをされたそうで、それからそういった作品ばかりを描くようになりました。食べ物ばかりではなく動物や本などの物も何でも人体にし、これらの作品は大反響を呼び、多くの追随者を生み出しました。
ユニークな奇才、アルチンボルドの作品10点をご覧ください。
「ウェルトゥムヌスに扮するルドルフ2世 1590-91年」
ウェルトゥムヌスはローマ神話の果物の神で、ルドルフさんを果物神に
しちゃった!という作品。ほっぺが赤くてお茶目なお顔です。
「地 1566年」
動物の集まりで構成されたお顔。ライオンが可愛らしい。
「火 1566年」
火を起こす材料のお兄さん。目が凛々しいです。
「風 1566年」
鳥っだらけのお顔。他の顔と比べて地味に不気味です。
「秋 1572年」
葡萄やカボチャ、キノコなどを組み合わせ、男性の横顔を作りました。
目のちょっとしたまつ毛がチャーミングです。
「司書 1566年」
本で司書さんを作りました。ひげと指のしおりが流石です。
「野菜庭師 1587-90年」
野菜が盛りだくさん!こういったふくよかな人いますよね。
「フルーツバスケットの顔 1590年」
口をすぼめてウィンクしているように見えるフルーツさん。
「四季の頭 1590年」
四季を織り交ぜたおばあちゃん。自然の神ってこういう感じのイメージ。
あるモチーフが別のものにも見える「ダブルイメージ」は、代表的なだまし絵技法のひとつです。日本の絵画にも猫を集めて顔を作るとか、人間を集めて人間作るとかありますが、こういった不思議な作品を見るとわくわくしてきます。だまし絵はルネサンス時代辺りが源泉となって、芸術の極みに持ち上げられていきます。
私も真面目に変な作品を作るような人になりたいですね。
【 コメント 】