聖アントニウスの誘惑の絵画8点。フルボッコ作戦で堕落を迫る悪魔と、耐える爺さん | メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

聖アントニウスの誘惑の絵画8点。フルボッコ作戦で堕落を迫る悪魔と、耐える爺さん

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 聖アントニウス(アントニヌス、アントニーとも)は251年にエジプトに生まれ、キリスト教徒として生きた聖人です。
 20歳の頃両親と死別し、隠遁者として砂漠で瞑想と苦行に身を投じました。苦行中に悪魔が現れ、彼をどうにか堕落させようと豊満な女性の幻覚を見せたり、掴みかかって恐喝したりします。アントニウスはそれでも悪魔に屈せずにキリストを信じ、人々に信仰を伝え続けました。こうした逸話が広がりに広がって、多くの画家に描かれることになります。今回はフルボッコ作戦を決行する作品を見ていきましょう。
お色気作戦を見たい方はこちら

 

「マルティン・ショーンガウアー作 15世紀」
この作品がフルボッコされるアントニウスの火付け役。
怪物に引っ張られても冷静な姿と構成に、様々な画家が参考にします。


「ミケランジェロ・ブオナローティ作 15世紀」
彼が13歳の時の作品。
元絵よりアントニウスの表情は険しげになっています。

「Jan Mandijn作 16世紀」
持久戦的な感じで、周囲からじわじわと追い詰めています。
ボスに影響を受けた事が全面に出ております。

「マティアス・グリューネヴァルト作 イーゼンハイムの祭壇画部分 16世紀」
怪物のリンチ感が凄まじい作品。髪をひっつかまれて、これ以上禿げて
しまったら可哀想です。この後の生存が危ぶまれますね。

「Bernardino Parenzano作 15世紀」
悪魔たちが棍棒を使ってじいちゃんをいたぶっています。
アントニウスの表情は冷静なのか、半ば失神しているのか・・・。

「マールテン・ド・フォス作 16世紀」
ジェットコースターに乗っているかのような、スピィーディーなリンチです。
下では半分死にそうな自己を精神力で守護しています。


「サルヴァトール・ローザ作 17世紀」
異形の悪魔が襲い掛かって来たところを、十字架で牽制。
受け身ではなく反撃に出ることができた聖アントニウス。

「マックス・エルンスト作 20世紀」
トラウマになりそうなどきつい作品。鼻の穴(?)に手を突っ込んでいる
悪魔とひげを持っている悪魔がキモい。いや、聖人が一番恐い。

 個人的に、聖人を描いた作品の中で「聖アントニウスの誘惑」が一番描かれているような気がします。どんな困難にも耐え、打ち勝つ聖アントニウスにあやかりたい!という気持ちなのか、大量の怪物を描きたいのか。画家の意見が分かれるところででしょうか。・・・聖人も大変ですね。

 

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