北欧神話のフレイとフレイヤの絵画13点。豊穣と愛を司るヴァン神族の双子の兄妹 | メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

北欧神話のフレイとフレイヤの絵画13点。豊穣と愛を司るヴァン神族の双子の兄妹

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 フレイとフレイヤは北欧神話に登場する、ヴァン神族の兄妹(文献によっては双子)です。
 ある日、オーディン率いるアース神族とニョルズ率いるヴァン神族の間で戦争がありました。戦いは長期間続き、互いは相当疲弊していたので、和平条約を結ぶことになりました。条約を締結する際、互いに人質を交換することにし、アース神族からはヘーニルとミーミル、ヴァン神族からはニョルズ、フレイ、フレイヤがやって来ました。こうしてヴァン神族の三名はアースガルズへやって来たのです。
 フレイは妖精界の王子で、豊穣や平和、財産などを司っています。婚礼の儀式にフレイに動物の生贄が捧げられることもありました。彼はかなりのロマンチストで、巨人族の娘ゲルズに恋をして病んでしまうほどでした。一方、女神フレイヤは愛と美を司る絶世の美しさを誇る女神で、かなり性に奔放でした。その奔放さはロキに「お前の周りの男はみんな情夫だろ」と悪口を言われてしまう程。オーズという夫を持ち、娘にフノスがいます。
 そんなフレイとフレイヤに関わる絵画と挿絵、13点をご覧ください。

 

「Fredrik Sander 作   1893‐1913年」
ニョルズはフレイとフレイヤの父で、ヴァン神族の長でもあります。
海を司り、船乗りの守護神とされています。彼は美脚のせいで山暮らし
を好む巨人族の娘スカジと結婚し、折が合わずに破局した面白い物語
があります。一読の価値ありです。

「Donn Phillip Crane 作  1878‐1944年」
ヴァン神族は東から来たと言われており、アース神族とヴァン神族の
戦争はノルウェーとスウェーデンの争いを示しているという説もあります。
フレイとフレイヤは仲がいい兄妹で、ヴァン神族では近親相姦は全然
OK!であるそうです。

「ヨハンズ・ゲールツ作  1901年」
王子フレイは豊穣や婚礼、生殖を司っています。全身から光を放って
猛スピードで走れる牡猪や、小さくたためる魔法の船、ひとりでに
戦ってくれる名剣や名馬を持っていました。

「W.G.コリングウッド作  1908年」
ある日、巨人族の国を眺めていたフレイは、ゲルズという乙女に恋を
してしまいます。恋煩いをしたフレイは何も手に付かず、溜息をついて
ばかり。父ニョルズはフレイの召使スキールニルに相談し、
スキールニルがゲルズの元へ行って説得することに決まりました。

「M. Dorothy Belgrave と Hilda Hart 作  1920年」
召使は彼女の元へ行きフレイの愛を伝えますが、ゲルズはなびきません。
するとスキールニルは「呪うぞ」と脅迫し、無事に婚礼を約束させました。
こうして二人は結ばれたものの、フレイはスキールニルに名剣と馬を
あげることになりました。

「チューダー・ハンフリーズ作 20世紀」
神々の黄昏ラグナロクが起きた時、フレイの武器は鹿の角でした。
名剣が攻撃力999だとすると、鹿の角は3です。それでもフレイは
敵と戦い続け、最強の炎の民スルトと戦ってやられてしまうのです。
→ ラグナロクの絵画を見たい方はこちら

「エミール・ドプラー作  1882年」
一方、フレイヤは美貌の持ち主で、愛や美を司っています。セイズという
魔術に秀でており、腕前はオーディンに教えるほどでした。女神としての
プライドは高く、巨人族へ嫁ぐ話には激ギレを見せました。

「アイスランドの17世紀の写本挿絵」
ふ、フレイヤさん・・・?どうしてこうなった。
ツッコミどころが多くて、どこを突っ込んでいいか分かりません・・・。

「ニルス・ブロメール作   1852年」
フレイヤは二匹の猫にひかせた戦車に乗って移動ます。一説には種類は
ノルウェージャンフォレストキャットと考えられていますが、絵画の猫ちゃんは
全然違うような・・・。周囲にいる子供たちは妖精ですね。

「ヨハンズ・ゲールツ作  1901年頃」
フレイヤは死や戦争を象徴している部分もあり、主神オーディンと戦死者を
分け合うこともしています。また、フレイヤの夫オーズはオーディンの別名と
いう説もあり、フレイヤと主神の妻フリッグが混同される時もあります。

「Louis Huard 作  1891年」
性におおらかなフレイヤはドヴェルク(小人)が作っている、
美しいブリージングの首飾りがどうしても欲しくなり、4人の小人の
「一人ずつ一夜を共にして欲しいな!」というお願いを聞きいれます。

「Maria Klugh (?)作  1909年」
しかしその事が咎められ、オーディンは首飾りを盗んでくるようロキに
言いました。ロキは蠅に変身し、まんまと首飾りをとってしまいます。
一部始終を見ていたヘイムダルがロキと闘い、首飾りは無事にフレイヤの
元へ返されます。

「James Doyle Penrose作  1890年」
曜日の一部の英語は北欧の神から由来しており、火曜日(Tuesday)は
チュール、水曜日(Wednesday)はオーディン、木曜日(Thursday)は
トール、金曜日(Friday)はフレイヤまたはフリッグを示しています。

 ラグナロクの際にフレイは戦争へ赴いたのに対し、フレイヤは父ニョルズと共に何処か遠い場所へ行ったとされています。北欧神話の研究者でもあったトールキンの著書「指輪物語」のラストでは、エルフやホビットたちは船に乗って遠い土地へ行ったので、この話からインスピレーションを得た部分もあったのでしょうかね。

 

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