戦うヘラクレスの絵画13点。獅子に怪物に巨人に対し、組み付き荒ぶる筋肉英雄 | メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

戦うヘラクレスの絵画13点。獅子に怪物に巨人に対し、組み付き荒ぶる筋肉英雄

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 ギリシャ神話の代表的な英雄の一人であるヘラクレス。
 彼の特徴は何といってもその力強さであり、筋肉ムキムキのガタイでネメアーの獅子やヒュドラ、大猪、巨人アンタイオスなどを仕留めました。ヘラクレスの物語は多々ある中で、彼の象徴ともいうべき「つかみ合い殴り合いの肉弾戦」や、その荒ぶるムキムキの姿は画家を魅了したようで、何枚かの作品が残されています。特にバロック時代に人気が出たようなのか、その時代に多めかなという印象がありました。
 では、戦うヘラクレスの絵画13点をご覧ください。おっさんだらけのむさい絵画オンリーとなりますので、ご了承ください。一部少しだけ閲覧注意があります!

 

「ピーテル・パウル・ルーベンス作  1577-1640年」
ネメアーの獅子の首を腕力で絞めつけ、仕留めようとしている
ヘラクレス。退治されたこの獅子は毛皮を剥がされ、彼が纏うことで
シンボル的存在となりました。

「ピーテル・パウル・ルーベンス作  1577-1640年」
もう一枚ルーベンス。こちらの方が全身を使って締め付けており、
より迫力が感じられます。ついでにトラもやっつけており、
ヘラクレスの豪傑さを前面に押し出していますね。

 「フランシスコ・デ・スルバラン作  1598-1664年」
ルーベンスの作品を見た後だと、抱き合っているように感じて
しまいましたすみません^^;スルバランはヘラクレスの戦いを
気に入っていたのか、何枚もの作品を残しています。

「ジャコポ・トーニ作  1476-1526年」
ちょっと遠めの戦闘。襲い掛かろうとする獅子に対し、彼は顎を
ぐわしっっと持って応戦しています。そのまま膝蹴り&頭突き攻撃が
入るか!?←ぇ

「フランシスコ・デ・スルバラン作  1598-1664年」
大猪を生け捕りにしようと棍棒で戦うヘラクレス。
右奥には猪をよいしょっと背負う姿も。

「フランシスコ・デ・スルバラン作 1634年」
こちらは9つの頭を持った蛇の怪物ヒュドラを退治するヘラクレス。
一瞬「胸が陥没しておる!?」と思ったら、ヒュドラの胴体でしたw
再生するヒュドラの首を従者に焼かせ、見事勝利を得たのでした。

「グイド・レーニ作  1575-1642年」
今にも棍棒を振り下ろさんとする、迫力あるヘラクレス。
これをモデルにやってもらって描いたのだとしたら、モデルの人かなり
大変そうだ・・・。

「フィリッポ・ラウリ作  1623-94年」
手前にいるのは鍛冶の神ヘパイストス(ウルカヌス)。奥のレリーフが
ヒュドラを退治するヘラクレスになっています。彼は英雄の武具を
与えたとされていますが、この作品は「得物を振るう筋肉おじさん」
関連で描いたのかな?

「ノエル・コワペル作  1667-69年」
河の神アケロオスと戦うヘラクレス。二人はオイネウスの娘
デイアネイラに求婚し、彼女を巡って争うこととなったのでした。
変身術を駆使して戦うアケロオスでしたが、ヘラクレスに角を
へし折られてあえなく敗北。

「ルーカス・クラナッハ(父)作  1472-1553年」
何か色々とやばい取っ組み合いですねww
こちらは巨人アンタイオスVSヘラクレス。巨人を地面から持ち上げて、
バキバキっと背骨をへし折ろうとしています。

「フランシスコ・デ・スルバラン作  1634年」
アンタイオスは地面から無敵の力を得ており、強そうな旅人に
戦いを挑んでは殺めていましたが、能力を見破ったヘラクレスが
彼を持ち上げて能力を封じ、絞殺したという次第です。
満面の笑顔ではいポーズ♪

「Rafael Tajeo 作  1828年」」
こちらは地面から持ち上げて締め付けるどころか、柔道の投げ技
状態のヘラクレス。このままブンブンされたら成す術がありませんね^^;

「オーギュスト・クーデル作  1819年」
あとちょっと!あとちょっとで地面に足がつくのに!
ふんぬ、それはさせぬぞ!このまま真っ二つになるがいい!
という感じのお二人w
それにしても服を着ないままの取っ組み合いって・・・色々と危険。

 美術はその名称からして、「美しい」ものを対象として描くイメージが付随しています。そればかりが美術ではないことは重々承知しておりますが、美女や美青年、美しい風景画、静物画の方が需要はあるのだと思います。しかしながら、ムッキムキの筋肉を「美しい」と感じる人は少なからずいます。筋肉にこだわりを持って描く画家、筋肉の絵画を買う注文主は当時も現在もいることでしょう。戦闘場面を描くのは、強さを象徴するばかりではなく、盛り上がった立派な筋肉を描く為でもあるような気もしてしまいます。

 また、人体を描く為には骨や筋肉の構造を熟知する必要があり、美しいデッサンを用いるためには筋肉を学ばなければなりません。取っ組み合いのシーンこそ人体の複雑な動作が表現できそうですし、なんというか、マッチョも芸術になくてはならない存在なのだなぁと思えるような作品群でした^^;

→ ヘラクレスとオムパレーについての絵画を見たい方はこちら

 

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【 コメント 】

  1. 管理人:扉園 より:

     >> 美術を愛する人様へ
    こんばんは^^
    「これ本当に戦ってる?」って疑いたくなる作品がありますよね。
    人によっては不快感を覚えてしまいそうな作品で掲載するか迷ったのですが、インパクトの強さに負けて掲載しちゃいましたw
    エピソードが多いし人気の英雄だしで、やはりヘラクレスの絵画は沢山ありますね。
    ただ、何気に多く見かける主題がヘラクレスの女装のような気がします。
    画家の皆様、そういう主題が好みなのかな…?^^;

  2. 管理人:扉園 より:

     >> 美術を愛する人様へ
    こんばんは^^
    筋肉は鍛えれば鍛えるほどいいと勘違いしていました。
    関節の可動を邪魔してしまうなんて考えたことがなかったです…。
    筋肉好きの方はそういうところもこだわって、自らの理想の筋肉の形にしているのですね。
    筋肉ムキムキ=脳筋のようなステレオタイプがありますが、全然そんなことはありませんね。
    求道者、格好いいです…。
    一番のモデルは自分自身であるという事もあり、ムキムキであった画家はいそうだと私も思います。
    力こぶを出しながら利き腕でスケッチして、「理想の形まであと少しだ!」とか追求していたのかもしれないと考えると、筋肉と画家の関係も深いものがあると改めて感じます…。

  3. 管理人:扉園 より:

     >> 巨人よりも獅子のほうが強そうですね。様へ
    こんばんは^^
    確かに巨人とは苦戦してませんね(笑)
    巨人と言っても大きくないですし…。
    グイド・レーニさん、以前は「ベアトリーテ・チェンチの肖像」や「ルクレツィア」「聖セバスティアヌス」などの印象が強く、美しめな作品を描く画家だと思っていたのですが、今回の作品やサイクロプスの作品を知り、「筋肉も描けちゃう画家」という印象になりました。
    比べてみると、ヒッポメネスと布の隠し方が同じですね…。(お下品ですみません)
    ウルカヌスの腹筋はヘラクレスよりしなやかで、いいかも^^
    ただ、私はもう少し細身な筋肉が好みなのです。←ぇ

  4. 美術を愛する人 より:

    vsアンタイオス戦の作品はなんの絵かわからないと「なにこれ😰」ってなりそうですねw
    ヘラクレスも色々エピソードがあってモチーフに事欠かないですね〜😸

  5. 美術を愛する人 より:

    筋肉好きだといろいろこだわりがあるみたいですね。
    職場に筋トレ趣味の方がいたのですが
    鍛えすぎると筋肉が邪魔して関節の可動範囲が狭まったりするのだそうです。
    そこまでしてもボディビル選手のように誰かに見せるわけでもないそうで、ただ自分の理想の筋肉を目指すらしく、さながら求道者のようでした。
    ある意味プロの画家に通じる気がします。
    筋トレしてた画家もいたかもしれませんね。

  6. 巨人よりも獅子のほうが強そうですね。 より:

    グイド・レーニさんの絵、ヒッポメネースもこんなふうに目一杯身体をのびーッとしてましたね。
    リンゴ投げと棍棒持ちじゃだいぶ違いますが(笑)
    ウルカヌスの腹筋がグニャーとなってるのがなんか好き♡←

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