オスロ国立美術館の見どころを教えます!見るべき絵画と、出会えるムンク作品は? | メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

オスロ国立美術館の見どころを教えます!見るべき絵画と、出会えるムンク作品は?

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ムンク -

 7月28日から8月6日まで10日間の北欧旅行へ行ってきましたので、ノルウェーにある最大の美術館、オスロ国立美術館へ入りました!
 ノルウェーの画家と言ったらエドヴァルド・ムンク。ムンクと言ったら「叫び」。「叫び」は日本では五本の指に入るほど有名な絵画ではないでしょうか。叫びの作品は全部で四枚あるとされており、その中の一枚がこの美術館に収蔵されています。しかし、それだけではありません。オスロ国立美術館には「叫び」以外のムンクの作品がありますし、他にも有名な作品が展示されていました。国立美術館の見どころや作品解説をしていきますので、早速ご覧ください!

 


オスロ国立美術館の外観と説明


KIMG0774

行ったときは生憎の曇り空。逆光も合わさり、酷い写真になりました・・・。これでは何がなんだか分かりませんよね。しかも工事中だったようで、右側は布でレンガがごまかされています(笑)
こちらがオスロ国立美術館の全貌です。↓↓(掲載元)

オスロ国立美術館

 この美術館は1836年に創設され、1800~1900年代のノルウェー出身の画家の作品が充実しています。しかし、中にはルネサンス期やバロック期の作品もあり、「名前を知ってる!」という画家も何名かいました。全体的な印象は、やはり北欧なので「自然」をテーマにした絵画が多かったです。大海原、フィヨルド、山々、森林・・・。人物画も多く見受けられました。一番の目玉はやはりエドヴァルド・ムンクの絵画。みんな行列を作って鑑賞をしていました。

 入場する際に気を付けることがありまして、リュックサックを背負っていたり、大きめの鞄(A4サイズ以上)を持っていては展示室へ入ることができません。ロッカー(無料)にあずけるか、リュックなら前に抱くようにしなければいけないのです。入場料を払うと、小さなシールかクリップをくれます(どちらか忘れた…)ので、よく見える箇所に付けておきましょう。正面入り口の右通路奥にあるトイレは無料で入れます。右側にショップがあります。

 日本では考えられませんが、館内は全て撮影OK。気が済むまでバシャバシャと撮れます。ただ、フラッシュをたくと「絵画が劣化する!」と怒られます。フラッシュOFFに設定しましょう。また、セキュリティの為、絵画に近付きすぎると「ピー!!」と高い警告音が鳴ります。自分が鳴らしていなくても、あちらこちらで警告される音が響くので、ちょっとビビります。強面の警備員さんが立っている箇所もあるので、あまり鳴らしすぎるとこっぴどく怒られるかもしれません。

 ではでは、必ず見たい8点の絵画&1点の彫刻と、独断と偏見でおすすめする作品をお伝えしていきます!一部自分で撮った写真が混じっており、画質が良くありませんがご了承ください。


おすすめの絵画


「エドヴァルド・ムンク作  1893年」
言わずもがな、美術館の目玉であるムンクの「叫び」。この絵画だけ
防弾ガラスのようなものに守られています。彼が出した叫びではなく、
外からの叫びを聞かないように必死に耳を塞いでいる場面なのです。
デリケートだった画家の悲痛な感情がひしひしと感じられます。
ムンク

「エドヴァルド・ムンク作  1885-86年」
母の結核が姉ソフィーエに移り、彼女は15歳で短い生涯を閉じます。
それに影響されて描いたこの作品を1886年の展覧会に出したところ、
「なんだこのぼけたような汚い線は!」と酷評を受けたようです。
ムンク 2

「エドヴァルド・ムンク作  1889年」
こちらも同テーマですが、線が明確で筆致も細かいです。
ムンクは仕方なしに展覧会ウケする描き方をし、美術界から賞賛を
受けたそうです。しかし、酷評を受けた前回の作品の方が、先鋭的で
称賛されるべき作品であったのです。
ムンク 1889

「エドヴァルド・ムンク作  1894-95年」
思春期と題されたこの作品は、少女が女性に変わる時期への
深層心理的な恐怖を描いています。一説によるとモデルは結核で
亡くなった姉。少女がこちらを一心に見つめる目に緊張と恐れが
一心に込められているように感じます。
 1894-95

「エドヴァルド・ムンク作  1894-95年」
マドンナと名付けられたこの作品は、ムンク自身に対する女性への
理想の姿です。愛の神秘性、美しさ、魅力、妖艶さを象徴している
存在なのでしょう。このマドンナの絵画も何枚も手掛けています。
madonna-munch

「グスタフ・ヴィーゲラン作  20世紀」
ノルウェーの近代を代表する偉大な彫刻家。
物憂げな女性像を形作った作品。彼の作品はヴィーゲラン彫刻公園
(フログネル公園)に大量にあります。
→ ヴィーゲラン彫刻公園について詳しく知りたい方はこちら
ヴィーゲラン

「クリスチャン・クローグ作  1893年」
992年、レイヴというヴァイキングはアメリカ大陸を始めて発見しました。
彼はその地を「ヴィンランド」と名付けます。コロンブスが大陸を発見する
5世紀も前に、彼等が先に到達していたのです。指を指して、今まさに
「島を見つけたぞー!」と叫んでいます。
Christian Krohg

「ハラルド・ソールベリ作  1914年」
オスロ国立美術館の中で一番人気の作品。なんとナンバーワンは
ムンクではないのです。一面青い背景に、白い山々と黒々とした木々が
生えています。手前の木々は日本の浮世絵から影響を受けたそう。
人気が出るのが分かる、立派で美しい絵画でした。
ハラルド・ソールベリ 1914

「Hans Guide&Adolph Tidemand の合作  1848年」
ハダゲンフィヨルドで船に乗り、結婚式を行っている牧歌的な場面。
作者の二人は風景画のハンス、人物画のアドルフと言われていた
程の巨匠で、この絵画では各々の得意な部分を描きました。
ハダゲンフィヨルドでの結婚 Hans Guide&Adolph Tidemand 1848

「エル・グレコ作  1587-96年」
ここからが独断と偏見のおすすめ絵画になります。
スペインの巨匠グレコの「聖ペトロの悔悛」の作品もありました。
ペトロは十二使徒の一人で、初代ローマ教皇と考えられています。
el_greco-oslo

「エル・グレコ作  16世紀後半」
グレコ再び。聖衣剥奪という主題の絵画。スペインのトレド大聖堂に
ある作品が元にあり、数点(5~6点?)の同構成の作品が残されています。
この作品はその中の一つ。
エル・グレコ

「ルーカス・クラーナハ(父)作  16世紀」
ルネサンス期のドイツの巨匠クラーナハの作品もありました。
キリストと姦通の女のシーン。当時、姦淫の罪に問われた女性は
石打ちの刑で死刑でした。しかし、キリストは彼等に「罪を犯したことが
ない者が最初に石を投げなさい」と告げ、誰も石を投げられませんでした。
cranach

「ルーカス・クラーナハ(父)作  16世紀」
春のニンフを描いた作品。大きな工房を持っていたクラーナハ親子は
絵画を大量製作しました。こういった妖艶な裸体像は彼の得意とする
ところであり、似たような構図で何枚も描いています。
春の寓意 クラーナハ

「ピーテル・パウル・ルーベンス作 
フランドルの巨匠ルーベンスの作品もありました。
彼の描く女性はむっちりふくよかですね。絵画のテーマは豊穣の
寓意画だと思います。輝く肌と果物の光沢が美しいです。
→ 寓意画についての絵画をもっと見たい方はこちら
ルーベンス 豊穣の寓意


まとめ


 ムンクの「叫び」は大量にパロディ化され、日本人の私たちにとっては一種のコメディになってしまっている部分があります。しかし、歪んだ線、赤い空、細いねじれた人体をじっくりと見ていると作品の中に没頭してしまい、「この絵画を描いた時のムンクの感情って、どんなに凄かったのだろう・・・。どんな音が聞えていたのだろう。苦しかったのかな・・・」と色々考えてしまい、なんだか胸が苦しくなって悲しくなってきました。作品を通して「叫び」が聴こえてくるような気さえしたのです。
 他のムンクの作品も私たちに訴えかけてくる「何か」を感じ、美しい風景画、人物画にはないような迫力が込められており、やはりムンクは巨匠だなぁ・・・と再認識したように思います。

 オスロ国立美術館は日本の美術館のサイズとほぼ同じで、そこまで大きくはありません。小部屋があってちょっと迷いやすいですが、1~2時間もあれば回りきれると思います。大まかに時代の古い順から新しい順へと並べられていました。
 しかし、絵画の所蔵量は1000点を超えており、時期によって作品をローテーションしているそうです。私が行った時はこれらの作品でしたが、同じ絵画が見られる保障はありません。(ムンクやヴィーゲラン、ソールベリなどの人気画家は大丈夫だと思います。海外出張してしまう恐れもありますが・・・)

 また、ショップは美術関連の書籍や北欧デザインの雑貨が多く、思ったよりムンクグッズがありませんでした。ムンクのTシャツを探していたのに、無かったんです・・・。残念。ディープなグッズが欲しいのなら、ムンク美術館へ行った方が良いのかなぁ~と思います。ムンクチョコケーキも食べられますしね。私は残念ながらムンク美術館へは行けませんでした~・・・(;_:)

 とっても見ごたえがあったので、ノルウェーへ旅行する機会があって、どこへ行こうかな~?と迷っている方はぜひオスロ国立美術館へ立ち寄ってみることをお勧めします!^^


アクセス(2017年8月現在)


入場料:大人/100NOR/学生、年金受給者/50NOR
     10名以上のグループ/75NOR
     オスロ・パスで無料入場/19歳以下無料/木曜日は無料開放/
     同じチケットで現代美術館、ノルウェー建築博物館にも当日のみ入場可

営業時間:火、水、金/10:00~18:00
       木/10:00~19:00
       土、日/11:00~17:00
       月/休館

行き方:トラム11、17、18番でTullinlokka下車。またはトラム13、19番でNational-theatret下車。
     または地下鉄1~5番でナショナルテアトレット駅下車。オスロ大学旧校舎裏。
     カール・ヨハン通りから徒歩三分。

→ Googleがオスロ国立美術館の絵画199点を公開しておりますので、こちらも合わせてご覧ください。


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