運命と人生の寓意(アレゴリー)の絵画12点。人は運に翻弄されながら生まれ死にゆく | メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

運命と人生の寓意(アレゴリー)の絵画12点。人は運に翻弄されながら生まれ死にゆく

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 寓意画(ぐうい)はアレゴリーとも呼ばれ、難しい抽象的な概念を、擬人化したり象徴を使うことによって絵画で説明する美術の形態の一つです。 → 寓意画について詳しく知りたい方はこちら
 運命という存在は人間の考えた概念であり、決して目に見えません。運命は私たちの人生を取り巻いており、時として残酷で、時として奇跡を起こします。また、人間という存在があっても、人生というものは目視できません。時間や生と死についても同様です。この不定形な掴みどころのないものをどうしたら表現できるか、と画家たちは考え、長い時をかけて様々な象徴や図像が生み出され、難しい概念を伝える作品が生まれました。
 運命と人生に関する寓意画、12点をご覧ください。

 

「ドッソ・ドッシ作  16世紀前半 運命の寓意」
男性が持っているのはくじでしょうか。勝利や権限を手に入れるのは
運にも左右されます。また、女性は豊穣の角(コルヌピア)を持っています
が、球体に座っています。富を手に入するのは常に不安定なのです。

「ジョヴァンニ・ベリーニ作  1490年 運命の寓意」
何処へ行くかも分からない小船、不安定な持ち方の球体はどちらも
予測が付かない運命を暗示しています。人間を象徴するかのような
子供たちは、運命に助けを求めたり身を委ねたりしています。

「カレル・デュジャルダン作  1663年 生命の儚さの寓意」
大海原で少年は貝と球体の上に、片足で乗っています。
不安定な人生はどこへ行くかと知れず、シャボン玉のように
あっという間に膨らんでは消えて行ってしまうのです。

「Bernardino Mei 作  1612‐76年 運命の寓意」
一番左の女性が車輪の上に乗っているので運命の象徴と考えられます。
作者はストイックな性格だったようで、富を捨てて生きることを絵画の中で
伝えています。私の解読力がなく、これ以上分かりませんでした・・・。

「ジーン・フランソワ・デ・トロイ作  1679‐1752年 真実と時間の寓意」
左の女性たちが白服の女性に「私を選んで」と言っています。
剣とライオンがあるので、戦いに関することなのでしょう。白と黒の服の
女性は勝利と敗北を意味し、頭上の老人は死神を象徴しています。
敗北と死は勝利の女神に抗議をしているように見えます。

「サルヴァトール・ローザ作  1656年 運命の寓意」
怪物の作品をよく描くローザは、ダークな運命を描いています。
死を象徴する死神は母親に抱かれた子供に、契約書を書かせているように
見えます。足元のフクロウは不吉と知恵、火花とシャボン玉は直ぐに
消えるのでどちらも人生を象徴しています。

「ジョバンニ・ドメニコ・チェッリーニ作 1609 – 81年 美と時間の寓意」
死の象徴の老人が美女を連れて行こうとしており、足元には砂時計と
鎌と本、矢が落ちており、残された時間がない事を伝えています。
メメント・モリの「死と乙女」と似たジャンルの作品だと思います。
→ 死と乙女の絵画を見たい方はこちら

「Pietro Liberi 作  17世紀 真実は時間を打ち負かす」
真実を意味する天使の女性が、時間を司る老人の鎌を奪って
派手に打ち倒しています。キリスト教的な意味で解釈すると、正しい真実を
知ることで死を凌駕し、天国へ行けるといった感じでしょうか。大天使
ミカエルとルシファーの戦いを彷彿とさせる作品です。

「Franz Anton Maulbertsch 作  18世紀 運命の寓意」
頭上にいる豊穣の角を持つ女性と鎌を持つ老人、二人で運命を
表しています。下の人々は運命に対して様々な反応を見せています。
中央の女性は栄光を手に入れたようですけど、後の男性は可哀想な
ことに踏んだり蹴ったりのようですね・・・。

「ウォルター・クレイン作  1882年 運命の寓意」
リストを書こうとする死神の老人に、生の天使が待ったをかけています。
大体生や真実など肯定的なものは女性や若者、時間や死の象徴は老人の
姿で表されることが殆どです。巻物は神が持つ「命の書」を思い出させます。

「Caesar van Everdingen 作  1650年 誕生の寓意」
オランダの総督フレデリック・ヘンドリックの誕生の寓意を描いた作品。
右下にいる赤ちゃんがヘンドリックです。彼のお陰で八十年戦争が
終結したので、上空の天使達が祝福しています。近くの女性と兵士は
勝利と武勇を象徴していると思います。左側にいるのは父母でしょうか?

 本当に寓意画って難しいですね。寓意の意味は分かっていても、これってどういう象徴なのだろう。これ誰だろう・・・。と訳が分からなく、必死に頭を悩ませました。一部個人的な解釈が含まれていますので、ご了承ください。もし、これってこれが正しいんじゃないかな~と分かる方が見えましたらお願いします。
 深い意味を探って考えるのが寓意画の魅力。きっとこの難解な内容を考えた画家さんも楽しかったんじゃないかな~と思ってしまいます。

 

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