イクシオンとタンタロスの絵画13点。神々の怒りを買い、残酷な処罰を受ける者達 | メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

イクシオンとタンタロスの絵画13点。神々の怒りを買い、残酷な処罰を受ける者達

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 ギリシャ神話に登場するイクシオンとタンタロスは、神々の怒りを買って罰を受けることになった人間です。
 ラピテス族の王子イクシオンはデイオネウスの娘ディーアと結婚する事になりました。彼はデイオネウスを殺してしまいますが、その罪はゼウスの取りなしによって許され、神の宴に招待される事になります。ところが、イクシオンは神の宴でゼウスの妻ヘラを誘惑しようとしたのです。
 しかし、その企みは筒抜けで、ゼウスはあらかじめ雲でヘラの化身を作っておきました。雲相手に思いを遂げたイクシオンは、神々の怒りを受けて奈落タルタロスへと送られます。彼はその罰として、燃えさかる車輪に縛り付けられ、空中を絶え間なく回転し続けることとなったのでした・・・。

 一方、タンタロスはリュデイア(トルコ周辺)の王でした。彼は人間にも関わらずゼウスと親しく、不死の身体を得ていました。しかし、タンタロスは神々を国へ招いた時に息子ペプロスを殺して料理し、シチューに入れてしまいました。神々はそれに気付いて食べませんでしたが、デメテルは口をつけてしまったそうです。(その後息子は神の力で復活しました) また、タンタロスは神の食物を盗んで友人に分ける事もしました。
 その行いに怒った神々は彼を奈落タルタロスへ送り、沼の上にある果樹に吊るしました。口が乾いて沼の水を飲もうと身をかがめると直ぐに引いてしまい、お腹が空いて樹の果物を取ろうとすると、直ぐに風が吹いて枝がそれてしまいます。こうして不死であるタンタロスは、永遠に渇きと飢えに苦しみ続けるのでした・・・。
 では残酷な罰を受けるイクシオンとタンタロスの姿13点をご覧ください。

 

イクシオン

「カルロ・マラッタ作  1625-1713年」
結婚相手の父を殺し、主神の妻を誘惑しようとする、不届き者で
恐い者知らずなイクシオン。しかし、ゼウスは彼の企みを
見抜いており、雲でヘラの化身を作っていました。

「ピーテル・パウル・ルーベンス作  1615年」
「麗しのヘラ様だ~!」と化身の頬に口づけしようとするイクシオンに、
「馬鹿ね。それは偽物よ」とポーズを決める本物のヘラ様。
いや、もうその凄い肉体は雲じゃないですって・・・。

「ピーテル・パウル・ルーベンスの追随者作  17世紀」
追随者さんが左右反転のそっくりな構図で描いたんですね。
その雲はネペレ―と呼ばれ、やがてイクシオンとの子を産みました。
その子は雌馬を相手にし、半人半馬のケンタウロスの祖となったと
されています。

「陶器アンフォラに描かれた赤絵式の作品  4世紀頃」
イクシオンはタルタロスへ連れていかれ、恐ろしい罰を受ける事に
なりました。炎が吹きあがる車輪にくくり付けられ、高速で
ぐるんぐるんと回されます。熱い、痛い、目が回るの三重奏です。

「ホセ・デ・リベーラ作  1591-1652年」
悪魔のような姿の執行人に車輪を引かれ、イクシオンはよじった
身体で回転する・・・。悪夢のような恐ろしい作品です。

「Giovanni Battista Langetti 作  1625-76年」
危ないアングルをしたイクシオンが、蛇が絡まる車輪にくくり
付けられていますね。これでどうやって回るんだろう・・・。
足元では冥界の渡し守カロンと思われる者が漕ぎこぎしていますね。

「アビル・デ・プジョル作  1785-1861年」
火がくすぶる中、蛇で車輪にくくりつけられて回るイクシオン。
炎で攻撃しようとしている女性は・・・。め、メデューサ!?

「ジュールス・イーライ・ドローネー作  1828-91年」
イクシオンの苦悶の叫び声が聞こえてきそうな、おどろおどろしい
作品ですね。足のよじり方と力の入れ方がリアル感を出しています。

 

タンタロス

「Gioacchino Assereto 作  1600-49年」
下には沼、上には果物。どんなに喉が渇いていても、どんなに
飢えていても、水と食料はタンタロスの元から逃げ、永遠に
手に入ることはありません。

「Giovan Battista Langetti の追随者作  17-18世紀頃」
くくり付けられながら林檎っぽい果物を食べようとするタンタロス。
ですが、その瞬間に果物は風で飛んで行ってしまうのでしょう。
派手な拷問をされているイクシオンと異なり、地味な罰ですが
これが永遠に続くと思うと精神的にキツイです。

「ドイツ出身のカラヴァッジョの追随者作  17世紀」
身体がほぼ沼に浸かってしまっているタンタロス。
首を下げれば飲めちゃうように見えるのですが、
多分飲もうとすると水がぎゅーんと激減します。

「Giovan Battista Langetti 作  1625-76年」
なんかもう果物を食べているように見えるのですが。
おそらくこの後、果物が走って逃げます。←ぇ
もしくはタンタロスも長い時を経て、果物を得る方法を編み出したとか?

「ホセ・デ・リベーラ作  1591-1652年」
イクシオンに引き続き、リベーラさん再登場。彼に描かせると、
タンタロスの罰も恐怖の拷問に変化します。
果物を見る視線が痛々しく見えますね・・・。

 さて、あなたは神の怒りを買ってしまいました。どのような罰がいいでしょうか?

1 イクシオンのように炎の車輪にくくり付けられ、回転させられる
2 タンタロスのように水と果物があっても永遠に食べられない
3 プロメテウスのように永遠に鷲に肝臓をついばみ続けられる
4 シシューポスのように永遠に大岩を山頂へと押し上げ続ける
5 マルシュアスのように全身の皮膚をべろーりと剥がされる
6 メデューサのように恐ろしい怪物に変化させられる

 正直に言うとどれも嫌ですが、個人的に一つ選ぶとしたらタンタロスかな^^; 飢えと渇きでガリガリになるけど、痛くはないし・・・。一番嫌なのはプロメテウスとマルシュアス。(二つですw) 内臓をご飯にされるのをループするなんて恐ろしいし、順番に自分の皮膚がはがされていくのを見るなんて無理すぎます!でも、意識を保ったまま怪物になるのもいただけないなぁ・・・。ちなみに、北欧神話のロキはこんな罰を受けていました。
7 岩にくくりつけられ、激痛がする蛇の毒を顔に垂らされ続ける
 ・・・これも嫌ですね^^;
 まぁ、あれです。どんな罰も受けたくないですと回答する事にします。←ぇw

→ プロメテウスについての絵画を見たい方はこちら
→ マルシュアスについての絵画を見たい方はこちら
→ ロキについての絵画を見たい方はこちら

 

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【 コメント 】

  1. 管理人:扉園 より:

    >> プロメテウス信者様へ
    6ですか!確かに、永遠というのは辛いですよね…。6になって誰かが退治してくれたら、安らかに眠れるかしら。
    神様の機嫌を損ねると、本当にロクなことになりませんね^^;
    せめてロバの耳にかえられた、ミダス王くらいの罰でありたい…。(黄金の手は御遠慮します!)

  2. プロメテウス信者 より:

    6ですかね。永遠にっていうのは何でも辛いし、5はものすごく痛そうだから、消去法で。まあ権力者(神?)に逆らわないのが1番何でしょうけど😇

  3. 管理人:扉園 より:

     >> 美術を愛する人様へ
    こんばんは^^
    「パリスって言う奴、私じゃなくてヴィーナスを選んだのよ。知的美女を差し置いていかがわしいのを選ぶなんて信じられないわ。あと、その旦那のヘパイストス。いくらヴィーナスに相手されないからって、私に向かってくるなんて気持ち悪い。ゲスよ」
    「そ、そうですよね。アテナ様を選ばないパリスも、欲望丸出しのヘパイストスも低脳ですわ」
    「分かってるわねぇメデューサ」
    のほほんとした談笑なら楽しいひと時なのですが、返答によっては第二(第三?)の罰が下るかもしれないので、メデューサにとってはプレッシャーを感じる瞬間がたびたび訪れそうです(笑)
    生首になっても女神様がお相手だと気苦労が絶えませんかね^^;←ぇ

  4. 美術を愛する人 より:

    アイギスに付けられたメドゥーサの首がアテナと会話するシーンを想像して笑ってしまいました(笑)
    普段正義感に溢れているアテナが、家の中でアイギスに「またうちの敷地内でヴィーナスがいかがわしいことしてたのよ〜」とか1人愚痴ってる姿が浮かびました( ̄ー ̄)

  5. 管理人:扉園 より:

     >> ヒッポリュトス並みの美男子(嘘 様へ
    こんばんは^^
    この世にはアイアンメイデンやユダのゆりかごなど、恐ろしい拷問が沢山存在するから、探せば神話の拷問の歴史もありそうですね。
    神話の拷問をされたら、一瞬で自白する自信がありますw
    ゼウス、奥さんに対してそんな拷問をしていたんですか。
    眠らせられただけで吊るし責めとは…。
    好色爺さんでもドン引きでしたが、そんな趣味があるとは更にドン引きです。←ぇ
    メデューサさんは石化能力を持っているから、生首になってもきっと大丈夫ですよね。(どういう理屈w)
    アテナ様と和解して持物として活躍するなら、アイギスに付けられたとしてもめでたしめでたし…なはず。←

  6. ヒッポリュトス並みの美男子(嘘 より:

    補足
    ヘラさん、正確には……、ヘラクレスを邪魔する過程でヒュプノスを使ってゼウスを眠らせるという謀をしたから……だったかな。

  7. ヒッポリュトス並みの美男子(嘘 より:

    神話の拷問もなかなかですね。歴史上、模倣犯的なものはないのかしら……
    『イリアス』では、その昔英雄ヘラクレスの邪魔をしたヘラがゼウスに錘を使った吊るし責めのような拷問を受けたことが、ゼウスの口から語られてました。「妃よ、あれを忘れたのかな、二ヒヒ」みたいな(二ヒヒは違うけどw)
    メドゥーサは、退治されなければ……いや、どうなんだろう^^;
    せめて、アイギスにつけられた後にアテナ女神と和解してたまーにおしゃべりを楽しんでいる……みたいな後日談があればな。←ぇ

  8. 管理人:扉園 より:

    >> 美術を愛する人様へ
    こんばんは^^
    前転ビタンビタンだと、車輪で高速回転するより痛そうな刑罰になりますね。
    炎が吹いているので、程よくこんがりと焼けそうですw
    美術を愛する人様はプロメテウスを選びますか!
    フワフワの鷲は可愛くて私も好きですが、自分の肝臓を毎日ご飯にあげるのはなかなか厳しいものがあります^^;
    毎日繰り返していれば慣れてしまって、くすぐったくなってくるのかな…。←ぇ

  9. 美術を愛する人 より:

    こんにちは。
    Giovanni Battista Langettiさんのイクシオン、せんべい裏返すように面で前転しつつビタンビタンと叩きつけられるのしか思いつかないです。車輪の意味が無くなりますが。
    刑罰でマシなのは個人的にプロメテウスですかね。鷲にご飯あげるようなもんだと割り切れば…可能ならフワフワの鷲で…

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