18点の絵画で学ぶヨハネの黙示録。終末のラッパとサタンとの戦い、最後の審判へ | メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

18点の絵画で学ぶヨハネの黙示録。終末のラッパとサタンとの戦い、最後の審判へ

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 「ヨハネの黙示録」は新約聖書の最後に載っている物語で、人類の終末が語られています。
 ある日、ヨハネはパトモス島で神の預言を受け、今から話すことすべてを書き留め、後世に残しなさいと言われます。七つの教会へメッセージを送り、神の御座で七つの封印が解かれ、世界は死に覆いつくされる。天使たちがラッパを吹き、死の鉢を空け、千年王国の後に悪魔サタンが現れる。そして、全人類は最後の審判にかけられる・・・。
 ヨハネの黙示録の内容は恐ろしいもので、人類の終わりを語るものでした。中世ルネサンス時代の人々はこの物語を事実だと信じ、ちょうど節目の1000年の頃には天変地異、神の裁きが起こると思って恐慌に陥ってしまった人もいました。
 ギリシャ語では「アポカリプス」と言い、黙示録は現在でもよく知られています。そんなヨハネの黙示録の物語を18点の絵画を交えながら見ていきましょう。

 

「ヒエロニムス・ボス作  1488年以降」
ヨハネは神に「これから見ることを記述しなさい」と言われます。
神の姿は白い髪、目は炎のよう、足は真鍮、声は洪水、右手に7つ星を持ち、
口から鋭い剣が飛び出ており、顔は太陽のように照り輝いていたとか。
比喩表現だとしても凄まじい御姿!

「パリ国立図書館の写本挿絵  1400年頃」
7つの教会にメッセージを残した後、神はヨハネに神の御座の
幻視を見せました。四体の生物と24体の長老を従わせ、
神は玉座に座っていました。その手には7つの封印をした巻物が。

「ヴィクトル・ヴァスネツォフ作  1887年」
神は一つずつ封印を解いていきます。順番に白、赤、黒、青と
馬に乗った者が現れ、彼等は世の人々を順に殺していきました。
四番目の青い者は「死」そのもので、黄泉を連れていました。

「Matthias Gerung 作  1500年頃」
第五の封印が解かれた時、信仰の為に亡くなった殉教者が
現われ、「我々を殺めた者に復讐を」と告げます。殉教者は
白い衣が与えられ、世界は天災が起こり始めます。

「Matthias Gerung 作  1500年頃」
敬虔なイスラエルの子らは額に神の刻印を押され、天災から
逃れることができました。彼等はもう飢えることも乾くこともなく、
御座の前での平和を約束されました。

「Matthias Gerung 作  1500年頃」
今度は七名の天使が順番にラッパを吹いていきます。
地上の三分の一の木が焼け、海と地上の生物が死に、
星々が暗くなります。

「Escorial Beatus 写本  10世紀頃」
第五のラッパの災厄は「怪物いなご」が出陣し、五か月間神の印を
持っていない人々を苦しめるということ。
さそりの尾でぐさりと人間を刺して、半殺しの目に合わせるとか・・・。

「フランスの彩色写本の挿絵  1220-70年頃」
いなごは馬のような姿で、頭には金の冠を付け、人間の顔をしており、
髪は女のように長く、歯は獅子のようで、羽音は戦車の響きのよう。
更に、その尾にはサソリのような尾があるそう。
どこら辺がいなごなんだ!?

「Miguel Cabrera 作  18世紀」
第七のラッパの後、太陽を着て月に乗った女が出現しました。
彼女は子を宿しておりましたが、横から9つの頭を持った
赤い竜が現れます。女は男の子を無事に産み、赤い竜はミカエルに
よって地の底へ投げ落とされます。

「ピーテル・パウル・ルーベンス作  1623-24年」
今度は角が十本、頭が七つあって666の刻印を持つ獣が現れ、
世界を支配しようとします。獣は多くの国を制圧し、人々の信仰を
集めます。神は獣と闇に落ちた人々に罰を与えることに決めます。

「フランスの彩色写本の挿絵  中世時代」
赤い竜と7つ頭の獣。竜は「俺の代わりに世を支配してくれ!」
と言った感じに、獣に自らの力と権威をすべて渡したとされています。
二人分の力を手に入れ、最強の獣になりました。

「彩色写本の挿絵  中世時代」
獣は悪しき印を持った人間とも考えられ、「アンチキリスト」という
偽りの指導者が世界を掌握し、人類を闇に陥れるとされています。

「Matthias Gerung 作  1500年頃」
天使らが災害入りの七つの鉢の中身を、順番に落としていきます。
悪性の腫物ができ、海が血に変わって生物が死に、太陽は人を
焼き、獣や罪深き者の口から蛙のような霊が出てきます。

「Matthias Gerung 作  1500年頃」
悪しき王(アンチキリスト)らはハルマゲドンへ集まります。
その時、激しい雷が落ち、大地震が起こりました。

「Ottheinrich Bible の挿絵  15-16世紀」
バビロンにいる淫婦の母は七つの頭をした獣にまたがり、
赤い衣を着て宝石で身を飾っています。
彼女は罰を受け、繁栄したバビロンは滅亡してしまい、
また、獣も生きながら硫黄の炎に投げ込まれます。

「中世写本の挿絵」
赤い龍(サタン)はもう一度地へ落とされ、神が地上を統治しました。
それはミレニアムと呼ばれ、平和は千年間続きました。

「ドッソ・ドッシ作  1562年」
千年語、地上の底からまたもやサタンが現れ、大暴れをしたものの、
ミカエルによって地の底へと戻されました。今度は永遠に。
サタンを倒すミカエルを見たい方はこちら

「ハンス・メムリンク作  15世紀」
天国か地獄かをジャッジする「最後の審判」。
いのちの書に名前が書いていない者は地獄へ落とされます。
ミカエルが審判者となり、死者だった者も含めてすべての人類が
神の裁きを受けることになります。
最後の審判について知りたい方はこちら

 選ばれた者のみが助かり、他はみんな苦しめられて全滅、地獄行きとか選民思想丸出しのエピソードですが、ヨハネの黙示録は象徴や暗号がちりばめられていて、魅力ある物語です。獣の数字である666も古くから研究され、皇帝ネロとかナチスの数字とか言われています。「オーメン」も666が登場する超有名映画ですよね。

 

【 コメント 】

  1. 管理人:扉園 より:

    >> 美術を愛する人様へ
    ポールシフトが起こったとしたら、黙示録のような大天変地異となってしまいますね。
    今、社会は混乱しており、心なしか終末を想起させます。
    災害や戦争などなくなり、平和になることを祈るばかりです。

  2. 美術を愛する人 より:

    >第五の封印が解かれた時、信仰の為に亡くなった殉教者が現われ、「我々を殺めた者に復讐を」と告げます。殉教者は白い衣が与えられ、世界は天災が起こり始めます。
    サタンが住む領域を攻撃、サタン逮捕後にポールシフトが起きる予定
    ゼレンスキー大統領「我々を殺めた者に復讐を」の言葉だと思われます

  3. 管理人:扉園 より:

    >> 季節風様へ
    こんばんは^^
    被害がなくてよかったです。
    ボスの作品は穏やかさと狂気、神聖と怪奇と絶妙なバランスで成り立っていますよね。
    確かに手前の青白い天使様も合わさり、背景はSFのような印象も受けるかも。
    ヨハネの黙示録自体が超常的で恐ろしい予言なので、嵐の前の静けさ的な場面で表現したのかもしれませんね。
    666は滅多に使わない数字だと思うので、大丈夫だと思います^^;

  4. 季節風 より:

    「ヒエロニムス・ボス作  1488年以降」ヨハネさんが優しそうだし美しい絵ですが遠くの景色がどことなく不気味で・・・あのタワーは現代風で却って怖いです。
    666は西洋では忌むべき数字なんですね。気を付けます。

  5. 管理人:扉園 より:

     >> 地獄の咎人エス・ノト 怒りの日来る時様へ
    こちらの詩は地獄の咎人様の創作でしょうか?
    もしくは久保帯人氏の名言なのかしら?
    最後の審判の臨場感が伝わる力強い詩ですね。
    戦争や銃などのワードに現代の息吹が感じられます。
    21世紀の天使なら銃も軽々と扱い、ルシファーをハチの巣にしちゃいそうですね^^;
    ディエス・イレと言えば、現代のLIVMOONという歌手が歌っている、「死の舞踏 -ディエスイレ-」が個人的に好きです^^
    短い曲なのですが、かなりのソプラノで迫力がある歌です。以下が歌詞になります。
    闇夜に 眠れ 灼熱の夜には
    罪を 悔いて 星を燃やすがいい
    罪を抱いて 眠る身体 その上で
    汚れを知らぬ 天使がワルツを踊る
    無償の愛が 罪人たち許すたび
    闇に燃やされ 燐火と消える星たち
    月の涙が 星の屍 流して
    約束の日に 大地に雨を降らせる
    誰か教えて 漆黒の闇の怒りに
    誰か教えて 天使は何を叫ぶの
    どうか教えて 今夜が約束の日なら
    どうか教えて 何を捧げればいい
    ディエス イレ

  6. 地獄の咎人エス・ノト 怒りの日来る時 より:

    審判の時は来る、我らはそなえる
    我らの傍らに怯まず戦うあの方が来る
    堕天使が来る、我らがかつて畏れた地獄の使者
    悪魔の信者どもが来る、我らはそなえなければならない
    我が心は固く、我が信仰は揺るがぬ、だが世界が脅かされるのなら、我らは武器をとって戦う
    奴らは代償を払わされるだろう
    復讐のために奴らの血が流れる
    解き放たれた戦争の犬どもが敵を喰いちぎる
    我らの銃は唸りをあげ、そして遂に敵は取り返しのつかないほどに打ち砕かれる
    慈悲を乞うが良いサタンの徒よ
    次に死体となるのはルシファーだ

  7. 美術を愛する人 より:

    会社の近くに在宅医療の施設があるのですが診察室へ行くのに螺旋階段がありその階段を上るのですがそれがそこの一つのウリだと言う事です。水星にその施設によく似た建造物がありその建物にも同じように螺旋階段があり下へ降りると直ぐに円柱状の部屋があり扉があって中が簡単な迷路のようになってて上から見ると丁度JISマークの様に見える迷路でその部屋の真ん中にエレベーターがあって地下へ降りると次元が変わって異次元へとたどり着きそこにある培養タンクの中にクトゥルーの体の一部があり、上に階段を上ると部屋がありそこの部屋の中から隔離された部屋がガラス越しにありそこにもクトゥルーの体の一部が保管されており、それを見るには神仏や防御の魔法陣が描かれた宇宙服のような特別な装備をして見なければ即座に心身に影響が出て二度と元には戻らない、何か放射線を髣髴とさせる話を書いた覚えがあります、入りたくても入れないイメージは私の家の信仰が身延山を総本山とする日蓮宗で広大な敷地の中には大きな
    「釈迦殿」と言う大きな納骨堂があって上にはガラスケースに入った仏像らしき物があるのもその話の中に入れて見た話を書きました。

  8. 管理人:扉園 より:

     >> 美術を愛する人様へ
    こんばんは。
    前者の物語は壮大なSFになりそうです。邪神VS神という構想は前からあったのですね。近所にクトゥルフの一部があったり、ニャルラトホテプをメノラーと十字架で倒したりと後者の話はずいぶんと独創的な内容ですね。

  9. 美術を愛する人 より:

    こんばんは、クトゥルー神話を元にした小説ですが某ブログに人には決して見せられないみっともないのを少しだけ書いた事はあります、地上で戦争が起き終わった後宇宙からの電波をキャッチした人類が
    こぞって宇宙へ出て行って色々と見て回っているうちに月や水星にクトゥルーや神話の邪神たちの遺跡が見つかりやがて邪神とそちらに付く人類と神仏の側に付く人類との宇宙での戦いと言う内容を考えていました、想像力が無いので会社の近所にある在宅医療の施設にクトゥルーの体の一部があり、見たり触れたりすると色々と有害なので特別な装備でそれを見たり神話に出て来るライアーラトテップをレジスタンスが惑星にある施設や建造物の中にあるのでその中へ侵入してユダヤ教の儀式で使うメノラーと言う燭台と十字架を突き刺して殺すと言う内容の小話を書いた程度で終わってしまいました、「ドクターX」に出て来る手術室で人体実験をしているのを秘密結社フリーメーソンの高位
    メンバーが見たり宇宙船で惑星の過去や未来に行くと言うほぼムーの記事にあるような内容を思いついて書いてました、もうみんな忘れてるので私も書いてませんが。

  10. 管理人:扉園 より:

     >> 美術を愛する人様へ
    こんばんは。
    ノーデンスはランドルフ・カーターをアザトースから助けた神ですね。
    また、ハスターという神はクトゥルフと敵対しているので、ハスターを召喚するのも手です。
    キリスト教の神そっちのけになりますが…w

  11. 美術を愛する人 より:

    こんばんは、クトゥルー神話にも人間の味方の神でノーデンスと呼ばれる神格と言うのか神がおり、銀の長い腕、もしくは五芒星で表されますがしばしば敗走するそうです、それでもあの救いようのない神話の世界では望みの光です(笑)

  12. 管理人:扉園 より:

     >> 美術を愛する人様へ
    こんばんは。
    キリスト教×クトルゥフ神話について考えたことがなかったので、斬新な想像ですね。
    黙示録に登場するドラゴンがクトルゥフだったら、神もなかなか倒すことができないのではないでしょうか。戦闘している内に地球が滅びそうです…。
    最後の審判どころじゃありませんね(笑)

  13. 美術を愛する人 より:

    こんばんは、あれから黙示録関係が気になって仕方なく、家に聖書があるのでヨハネの黙示録の所を読んで見ました、するとやはり愛すべき都、聖なる都との記述があり、悪魔の軍隊が都を取り囲むとあり、天からの火により悪魔は滅ぼされるとありました、もしもクトゥルー神話を聖書の記述を元にしたタペストリーの様にしたらどうなるのかと思ってしまいます。

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